7月4日(木)からはじまりました武村彩加さんの個展「Paper Plants」。
繊細に描かれた植物を、万華鏡のように組み立て再構築したイラストレーションがならびます。その手法とは?武村さんにとっての植物とは?お話をお伺いしました。

-自己紹介と普段の活動を願いします。

生まれてこのかた、今の所ずっと愛知県に住んでます、武村彩加です。大学でグラフィックデザインを学び、卒業後、たまたま出会ったパッケージの営業さんからお仕事をもらい始めてから、今までフリーでグラフィックデザイナーとして活動しています。最近は建築関係の方と仕事をすることが多く、サイン関係など、範囲が少しづつ広がってきています。

クライアントワークと並行して、自主制作で、小物や雑貨を細々作っては、イベントや展覧会などに出店しています。今回の展覧会のようなアナログな手法で製作して、デジタルでさらに手を加えるなど、ひとひねり加えるような作り方で身の回りにあるモチーフや事柄から自由に製作して発表したり、販売したりしています。

-今回の展示のタイトル「Paper Plants」の由来やコンセプトを教えてください。

植物を見るのが好きだけど、いつか枯れてしまう、その枯れる様子もまた美しかったりもするのですが、立体的・平面的に植物を作ったら、一番綺麗な状態をとどめて、ずっと飾っておけるような形にできるのでは、というところがスタートだったと思います。元々紙を触ったり、紙の上で表現することに興味がありました。有機的な植物の形を追って表しながら、それを使って再構成したまた違った新たな造形の美しさを見出す、練習するために描き始めた植物の絵を再構成する面白さに気づきました。

-武村さんが「Paper Plants」シリーズを描き始めたのはいつごろですか?またきっかけはありますか?

描き始めたのは2015年、4年前です。きっかけは、もっと絵を描くのが上手くなりたいなー、と思ってた時に、練習として、形が複雑なもので描きがいのあるモチーフを探していました。たまたま近所の道端にミントが咲いていて、それを書き始めたのがきっかけです。描いて終わり!のつもりでいたのですが、描き終わった時にただ描いただけではつまらないので、描いたものを使ってさらに反転したり、回転させてみたりして、再構成したら、形のバランスや余白の使い方など、デザイン的な考え方にも繋がって面白いかなーなんてことを考えていました。まさか、ここまでいっぱい描いて続くとは当初考えていませんでした。

-「Paper Plants」シリーズはどのように描かれているのですか?

イラストレーションボードに鉛筆で下書きをして、アクリル絵の具で描いています。一輪・一株描いたら、スキャンしてパソコンに取り込み、反転、回転したり面白い形出しやバランス、配置を探ります。

-今回の展示では同じ図案を2種類の印刷方法で出力し展示されていますが、その意図とそれぞれの印刷方法の魅力・違いを教えてください。

1つは普段の印刷方法で、もう一つは今回の展覧会でレトロ印刷さんの場所をお借りするので、レトロ印刷さんで版を重ねてみたらまた同じ図でも違った味が出るかと実験的にやってみようと印刷をお願いしました。詳細部分を表現したり、ある程度仕上がりがそのまま予想できるのが普段の印刷方法の良さであると思います。

レトロ印刷さんの場合、ラインがいい意味でズレて曖昧になり、全体の印象が柔らかな印象になったり、印刷物が届いて広げる瞬間のワクワク感も含めて、とても毎回楽しみです。  
今回は普段の印刷に寄せるような形で近づけるように4色インクを選んで表現していましたが、もっと偏った色や版の作り方・選び方でも同じ形でもまた違った印象を引き出せるのも魅力であると思います。

-武村さんにとって「植物」とはどのような存在なのでしょうか。

生きているのにじっと動かない、観察して形を追うには最高のモチーフです!笑
植物も生きるために太陽の方向に向かって伸びたり、自然とその場に合わせて形を変えながらも、葉や枝の生え方など規則的な部分もあったりして、見ていて飽きません。身近に置いて癒されながらもこれからも眺めていきたいです!

-今回、初めての個展とのことですが展示をしてみて感想はいかがですか?

関西方面には知り合いも少なく、今まであまりご縁がなかったのであえての関西で挑戦含めて、初めて一人でやってみました。今までイベントに参加するにも友人と一緒だったり、展覧会もグループ展にしか参加したことなかったので、それに比べて今回は自由度の高い分、ギリギリまで粘れるのもあって、、大変ではありましたがとても楽しく準備できました。搬入が終わり、色々反省点もあり、設置した作品を見渡して、もっと絵や作品作りを上手くなりたいなーと改めて思いました、、展覧会が終わったら、来てくれた人への感想を伺いながら、また地元の東海圏・関東方面にも広げて、また別の場所で個展をやってみたいです。

-最後に、今後の活動予定や目標はありますか?

引き続き、いただいたお仕事・クライアントワークを大切にしていきつつ、自主制作/アートワークも並行させて、相互にいい影響があるような形で、実験的に制作を続けて行きたいです。
PaperPlantsのシリーズはまた少し形を変えて発展させていけれたらと思ってます!