10月24日(木)から29日(火)まで個展「誰そ彼ポートレイト」を開催されました竹田明日香さん。
会期中はお客様の似顔絵を描かれたりと、大変にぎやかな展示となっておりました。今回の展示についてのお話や、イラストレーターとしてのお仕事についてお話をお伺いしました。

-自己紹介と普段の活動をお願いします。

イラストレーターの竹田明日香と申します。長らく全国紙の新聞社のデザイン部で働いていましたが、2017年に独立し、自宅にてイラストやデザインの仕事をしています。最近、似顔絵イベントなどにお声がかかるようになってきて、活動の幅が少しずつ広がっているのが嬉しいです。

-今回の展示のテーマとコンセプトをお教えください。

「誰そ彼(たそがれ)ポートレイト」というテーマで、人物像に焦点を当てた展示にしました。普段から人物を描くのが好きなのですが、今回は「写真や絵になった人物」というイメージに絞りました。何かの媒体でポートレイトを見たときに、その人がどんな人で、どのような人生を歩んできたのか、何も分からないですよね。著名人であっても、概要を知ることは出来ても、それ以上は写し取られた表情から受ける印象から想像するしかない訳です。見る人の想像の中に生まれた人物像は、その人の中にのみ生きる、誰でもない誰かなんだな、というのがコンセプトです。

-今回展示されている作品の中で特に思い入れのある作品やお気に入りの作品はありますか?

DMとセットで作製した「MissA」は、コンセプトを最も大きく反映した作品になったので特に気に入っています。実はDMの絵を先に描いていて、個展用には違う絵を描くつもりでした。ですが、あるイラストレーターの方に『DMに載っている絵は会場にある方がいい』というアドバイスを頂き「MissA」を描くことにしました。結果として、同じ人物像でも、DMを見て受けた印象と、会場で大型パネルにカラーで描かれたものを見て受ける印象とのギャップを楽しんで頂ける仕掛けになりました。

-絵を描く際、画材は何を使用されることが多いですか?

最近はipadのprocreateというアプリで描くことが増えました。アナログで描くときはアクリルやガッシュ、モノクロの時は筆ペンなどを使うことが多いです。似顔絵の時は水彩絵の具を使っています。その人の印象を多面的に表現するのに適しているからです。デジタル含め、どの画材もそれぞれの良さがあるので、状況に応じて楽しんでいます。

-絵を描き始めたのはいつごろでしょうか。またイラストレーターになろうと思われたきっかけはあればお教え願います。

物心ついた頃から絵を描くのが好きで、子どもの頃は白い紙があればあるだけ描いていました。中学生の時に大型書店で、玄光社さんが発行している「イラストレーションファイル」を初めて見て、イラストレーターという職業を知りずっと憧れていました。就職して働くうちになんとなく諦めていたのですが、同じ大学出身の会社の後輩が、在社中にイラストレーターの育成塾に通い、活動を始めたことに刺激を受け、自分ももう一度夢を追いたいと思い独立しました。

-竹田さんはイラストレーターとしてもデザイナーとしてもお仕事をされていますが、どちらもやるからこそ大変なことやよかったことはありますか?

よい点は、イラストとデザインの「セット売り」が出来ることですね。デザインとイラスト両方を扱う案件の方が、時間はかかりますがギャランティがいいので、それは大きな利点だと思います。あとは、イラストレーターとして受けた仕事でもデザイナー目線で必要な情報を感じて絵を描けることです。ただ、要望に寄り添いすぎるとイラストとしての勢いが失われてしまうので、注意しています。

-今後の予定や目標をお教えください。

次の展示予定は未定なのですが、やるとしたら小さな立体物をメインにしてみたいと思っています。仕事の目標は沢山あります。やはり装画や、ファッションイラストや子どもを対象としたイラストなどは今後手がけていきたいです。
また、個展でのグッズ販売を今回初めて行ったのですが、グッズのコンセプトなどを考えるのが思った以上に楽しくて。そういった企画段階から参加するものや、新聞社での取材経験が活かせられるようなルポまんがなどは自分でも得意分野だと思うので、いい意味で色々と相談して頂けるようなイラストレーターになれたらと思います。