3月12日から始まりました、山吹二五五「猫と宇宙船」。シンプルな造形の3DCGや写真、文章など、多彩なメディアが組み合わされた表現として立体感のある、そして猫好きにはたまらない作品がずらりと並びます。

-自己紹介と普段の活動を願いします。

山吹 二五五(やまぶき にごご)と申します。平日はインハウスのデザイナーとして働き、休日に自主制作のグラフィックアートを作っています。数年前から3DCGを取り入れ、文章やタイポグラフィ、写真と組み合わせた表現を研究・制作するようになりました。今回が初めての個展となります。よろしくお願いいたします。

-今回の展示のタイトルの由来やコンセプトをお教え願います。

タイトルの『猫と宇宙船』は、私の2つの作品『猫の輪廻』と『一人乗りの宇宙船』から一単語ずつもらいました。初めての個展なので、意味よりも「なんだそれ?」と興味を持ってもらえるような引っかかりのある名前を重視しました。

-あまり見かけないお名前ですが、作家名の由来をお聞きできますでしょうか?

「山吹」は山吹色、「二五五」はRGB値の最大値の255が由来です!創作活動を始める時、山吹色が好きなので名前に山吹は使おうと決めていました。ただ、それだけだと誰かと被りそうなので、記号として数字を足そうと思ったんです。普段スクリーン上のデザインの仕事をしているので255という値には馴染みがあるし、デザイナー同士の会話で「にごご」って読んだりするので名前としても呼べるなと思って使い始めました。漢数字にすると年配の方の名前みたいで渋い感じがするのも気に入っています。

-今回の製作で意識されたことはありますか?

絵本や旅行記など、絵と文章を組み合わせた表現が好きなのですが、絵は見てもらえても読んでもらうというのは中々ハードルが高いなと感じていました。展示は本を開かずとも文章を読んでもらえるチャンスなので、全ページ省略せず展示しようと決めていました。

-旅行記と写真にその旅路で着想を得たグラフィックを盛り込んだりなど、どの作品も多様な表現を融合されていますが、お好きな作家などはおられますか?

作家ではないですが、フィンランドのaarikkaというメーカーの木製プロダクトにはとても影響を受けました。プリミティブな形だけでできているのに温かみが感じられる造形というのはとても憧れます。私もシンプルな造形の猫の3Dモデルを作っていますが、猫を球体で表現していいんだ!という勇気をくれたのはこのメーカーです。

また、小説家の森博嗣さんの作品が好きで、文章もかなり影響を受けていると思います。絵本で猫の一人称が「猫」なのとかは、まさにそうです。

-今回のフライヤーはもちろんのこと、JAMをかなりご利用いただいておりますが、JAMとの出会いなどお聞かせください。

JDNさんでSURIMACCAが紹介されていたのが最初の出会いだったと思います。その後に紙博があり、SURIMACCAの会社が出展してるらしい、ということで見に行ってレトロ印刷の体験をさせてもらいました。混色の具合が分からず印刷結果は大失敗でしたが、その時買ったカタログが凝りに凝って作られていたのに驚いて、そこからファンになりました。

-原稿作りのコツや裏技みたいなものがあればお教え願います!

まだまだ失敗もするので研究中です…!あるとすれば、使ったことのない紙かインクを必ず一つは使う!でしょうか。実験あるのみですね。

-他の印刷もご利用されていますが、レトロ印刷とその他印刷はどう使い分けていらっしゃいますか?

鮮明に描写したいグラフィックの場合は通常のプロセスカラー印刷を使っています。ただ、3DCGはモニター上で作るので、プロセスカラー印刷だと彩度が落ちたり解像度が下がって見えたり、一段階表現力が落ちてしまう所があります。その点レトロ印刷だと単色ですがインクの発色も良いですし、解像度が低いのも味になるので、表現力が落ちるのではなく別の表現になってくれるのが面白くて使っています。

-最後に、今後の予定や目標をお聞かせ願います。

まずは第2回レトロ印刷トライアルに参加します!個展のすぐ後に締め切りなので今から頑張って原稿作ります!(笑)また、今年はイラスト表現にも挑戦しようと思っています。一つの表現方法にこだわらず、今後もいろんな実験をしていきたいと思います。


山吹 二五五(やまぶき にごご)

平日はインハウスのデザイナーとして働いており、休日に自主制作のグラフィックアートを作っています。
数年前から3DCGを取り入れ、文章やタイポグラフィ、写真と組み合わせた表現を研究・制作しています。

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