シルクスクリーンに挑戦しよう!でも、わたしの細かい絵って製版/印刷が可能なの?
と不安になり、ご質問いただくこともしばしば。
単純に線が細いだけならば、割と細く(illustraterのデータの線で0.25pt=0.1mm程度)まで うまくすれば 印刷できます。
▶細かいデザインはどこまで刷れる?
https://jam-p.com/blog/2016/09/07/komakai/

しかし、にじみによって細い抜きはつぶれてしまいますので、“細い線も刷れる”とはいえ、密度が高いと抜きが細まり、筆致などは消えてしまいます。

また、手描き原稿は画材やスキャン時の環境で濃淡がでがちです。お絵描きアプリなどのデータでも、黒で描いているつもりがペンの種類によりよくみると濃淡の施されているものは多く、線やぬきの細かさにプラスして、製版時の【濃淡部=グレー部分は網点化される】という性質にもご注意いただく必要があります。

製版は100%よりも濃度の低い黒、グレーの部分が自動で網点での表現に変換されるため、描画としては粗くなり、より細かい印刷をすることになりますので難易度が高くなります。
▶グレーのデータを製版してみました。
https://jam-p.com/blog/2018/05/18/post-1442/
▶えんぴつやクレヨンで描いた絵はシルクスクリーン製版できるの?
https://jam-p.com/blog/2019/08/20/analog/

それでは、とにかく実際に印刷したものをみていきましょう!

今回見本として印刷してみる図案はこちら

グレースケール化のみ
①グレースケール化を補正
②補正して2諧調化

グレースケールでスキャンしたままでは背景に色がついてしまっているので、補正を加えたものと、2諧調化して補正を加えたものの、①と②の2種類のデータで製版/印刷してみます。
グレースケールは黒に濃淡(グレーの部分)があり、2諧調化は完全なる白黒です。

1. 紙に刷ってみる

細かい絵は、その印刷する素材によって全然印刷のでかたが違います。
なかでも紙は肌理がこまかくすべすべしているので、素材による影響が少なく、細かい印刷の再現度が高くなります。

グレースケールデータ版(①データ版)

拡大図

グレースケールデータで作った版を紙に刷った1回目。
元データである①と比較すると、遠目にみると同じようにみえるのですが、寄るとかなり網点に変換されていることがうかがえます。
細くかつ100%の黒でない線が点線になっているので、かなり細かい表現になっています。

拡大図

上と同じグレースケールデータによる版で何度目かに刷ったものです。
線や点が太まり、インクがよく出て、細かい表現が潰れています。

2諧調化データ版(②データ版)

拡大図

2諧調化データ版で紙に刷った1回目。
細かいところまでデータに近い実線になっていますが、よく見ると抜きが潰れた部分があり、少し濃い印象になっています。

拡大図

同じ版で何度目かに刷ったもの。
グレースケール版同様、インクが良く出て、潰れた部分が多くなります。

表面に凹凸がないなめらかな紙は、素材の影響があまりないので、先述の通り、細かい表現の再現度が高くなりました。
とはいえ、刷り方やインクの出方で全然違ったものとなりがちで、刷り始めと刷り終わりだけでもこれほどの差が出ます。

2. 布に刷ってみる

シルクスクリーンの魅力といえば、色んな素材に印刷ができるところ!
なので布に刷っていきたいのですが、ひとくちに「布」といっても色んな種類があるもので、布目の粗さもものによって全然違います。
そんな布目の粗さ=表面の凹凸は印刷に大きな影響を与えます。

ということで、上と同じ2種類の版で、2種類の目の粗さの布に刷ってみました。

グレースケール版(①データ版)

【目の細かい布(手ぬぐい)】

拡大図

【目の粗い布(キャンバス)】

拡大図


紙に比べて布地の方が、布目があることや吸水性があることにより、カスレがちになっているのですが、元から点線で構成されたグレースケールの図案は、逆にカスレが目立ちにくくなるという結果に!

2諧調化データ版(②データ版)

【目の細かい布(手ぬぐい)】

拡大図

【目の粗い布(キャンバス)】

拡大図

グレースケール化版同様、手ぬぐい布のような布目の細かいものはおおむね似通った仕上りとなりましが、キャンバス地では布目に負けて線が大きく潰れた仕上りとなりました。
拡大図をみるとわかりやすいのですが、布目の凸の部分にはインクがつき過ぎて潰れ、逆に凹の部分にインクがつかないことにより線が途切れています。
途切れる部分とインクが出過ぎる部分の同居する、複雑な刷り上がりです。


まとめ

・同じ原稿でも、データによって仕上りは全く異なったものとなるので、原稿はスキャンしてからの処理のことも考え、白い紙に黒ペンで作成するのが◎
・スキャンしてからも、編集アプリに取り込んで好ましい仕上がりになるようコントロールするのが◎
・グレースケールも自動で網点化されるが、二階調化でコントロールした方がより仕上がりを把握しやすくなる
・印刷したい素材に合わせてデザインもコントロールすると、より思い通りの仕上りを目指せる
・細かいデザインは刷る際の力の入れ方やインクのにじみで潰れてしまう部分が毎回変わり、仕上がりを安定させるのが難しい
・インクの通る穴が小さい分少しの乾燥で目詰まりが起きるので、印刷物をまめに観察し、掃除をする必要あり 
※今回の実験は手早く作業を行ったので、みられませんでした(汗)

版画になると線に物質感が生まれ、複製というよりも 「作品」といえるような風合いがでますので、細かい印刷は少し難しいですが、ぜひチャレンジしてみてくださいね!

注意
●ラメインクはラメの粒子が大きく、細い線にはそれがあまり乗らず、きらきらを生かしきれない仕上がりとなるので御用心です。ラメインクは面積大き目がおすすめです!

今回実験で使ったもの

SURIMACCAセット
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【シルクスクリーン製版】Sサイズ
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SURIMACCAインク
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SURIMACCAは、シルクスクリーンの製版サービスやオリジナルキットの開発のほか、シルクスクリーンの作業場を全国に拡げるプロジェクトを行っています。『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

SURIMACCA
https://surimacca.com/
06-6485-7350(10:00~19:00)