7月22日から8月3日まで開催中の『small / ヨシコ.N イラスト展』。家の引き出しの中に眠っていた赤青鉛筆を取り出して描かれたというやわらかなドローイングたち。原画をもとにレトロ印刷で印刷されたプリントをはじめ、作品集やポストカードも並びます。作品のコンセプトやJAMとの出会いについてお話を伺いました。

-自己紹介と普段の活動を教えてください。

普段は会社勤めをしながら、絵を描くことを中心とした制作活動をしています。よく使う画材は水彩絵具ですが、最近は赤青鉛筆やカラーインクを使った作品作りが多いです。興味のある画材や技法はすぐに試してみたくなるタイプなので、画材によって絵柄がよく変わります。

-今回の展示のタイトルの由来やコンセプトをお教え願います。

今回の作品は、原画となる絵をノートに描いていて、1ページに多いところで6つくらい描いているような、割と小さな絵が多いので「small」というタイトルにしました。コンセプトというほど大したものはありませんが、今回作品を作るに当たって自分の中で決めたルールは、「赤色と青色だけで、その時思いついたものを」です。

-赤青鉛筆を使ったドローイングはどのようなきっかけで始めたのですか?

自宅で小学校の頃使っていた赤青鉛筆の箱を見つけた事です。その当時買ってもらったのはいいけれど、1ダースの箱を使いきるほどは使うことがなかったみたいで、まだたくさん入っていました。そのまま捨ててしまうのはもったいないなと片付けの度に思って置いてきたものを、また今回ももったいないなと思って、じゃあ使ってみようとなりました。SNSでたまたま赤青鉛筆を使って描かれたイラストを見かけたことも、きっかけのひとつかもしれません。それから何気なくひとつ描いてみておもしろかったから、もっと描いてみようとなって続けてきました。

-絵を描かれる際にこだわっているポイントはありますか?

先程も少し触れましたが、この赤青鉛筆を使って描いている絵については、下書きをしないということがこだわりというか、自分の中でひとつのルールとしています。構成やものの形を色々考えて描くというよりも、その場その場での思いついたものをたくさん描いていきたいなあという気持ちで。なので、形がゆがんでいたり、後から見てここはこうじゃなかったと思う箇所もあります。思いつきで描いていくようにしているので、一度描き終えた絵も後から見返して描き加えたりもしています。

-本展では原画をもとにレトロ印刷でプリントされた作品を展示されていますが、プリントならではの魅力などはありますか?

プリントすることで、原画とは違ったひとつの作品という感じがすると思っています。版画作品に近いような感覚というか。また、プリントするためのデータは原画から起こしているのですが、プリントすることによって生まれる微妙なズレや、鉛筆で描いたのとは違う色の重なり具合が気に入っています。今回は展示販売をやりたかったので、プリントすることによって一点ものではなくて量産できるといったところも利点だと思っています。

-以前からシルクスクリーンのワークスペースやレトロ印刷をご利用いただいていますが、JAMとの出会いについてお聞かせください。

学生の頃、JAMさんのリーフレットを見たのが最初です。確かちいさな黒い紙に印刷されていたものだったように記憶しているのですが、見た目でインパクトがあったのと、大阪だし近いから行けなくもないなと思ったのを覚えています。その後初めてお店にお邪魔したのは2015年の工場見学の時でした。それからレトポを注文したり、シルクスクリーンも何回もお世話になっています。始めた当時はまだSURIMACCAがなかったので、今思えば版を作るのが大変だったなこともなつかしいです。

-最後になりましたが、今後の予定や目標もぜひお聞かせください。

赤青鉛筆での制作は続けていきたいなあと思っています。作品を増やして第二回の展覧会をしてもおもしろいんじゃないかと。また、いろんな人に見てもらいたいなあという気持ちもあるので、発表の場を増やしていきたいなとも思っています。ありがとうございました。


ヨシコ.N

兵庫県在住 絵と植物と日常 定まらぬ絵柄

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