12月7日(金)からお店のギャラリーにてはじまりました、リリィ・クマチャンの個展「Since then Lily  彼女はまだ、旅の途中。」
ノスタルジックでどこか不思議な魅力のドローイングが並び、リリィ・クマチャンの世界感にどっぷり入り込める素敵な展示となっております。展示に込められた物語や、リリィの存在についてお話をお伺いしました!展示とあわせて、インタビューもお楽しみください。

-自己紹介と普段の活動を教えてください。

リリィ・クマチャンといいます。普段はデザイン事務所で働いていて、仕事の合間に絵の制作を行っています。
最近はZINEやポスターなどの印刷物をつくっていろんなところで販売したりしています。crevasse(クレバス)というZINEの出版レーベルの方が、以前の私の展示を見て声をかけてくださって、「只今工事中」と「夜行性ジン」というZINEを取り扱ってもらいました。そこから、台湾や上海、スイスなど海外で販売もされました。

-リリィ・クマチャンの名前の由来は?

私の本名がユリナっていうんですけど、ユリナの名前の由来が百合の花からきているんです。それと、大学の卒業制作のタイトルが「リリィの計画」だったんです。それもあってリリィという名前に思い入れがあってアーティスト名にしました。
クマチャンは大学のときのあだ名です。みんな私のことをクマチャン、クマチャンって呼ぶのでいまさら本名を名乗ってもだれも分かってくれなくて(笑) だから、最初はクマチャンっていう名前で活動しようとしてたんですけどクマチャンってちょっとかわいすぎるな…、と思って、リリィとつなげてみたんです。
そしたら「リリィ・クマチャン」って語呂がよくてしっくりきたんで、リリィ・クマチャンという名前で活動することにしました。

-絵を描き始めたきっかけは?

小さいころから絵はずっと描いていました。ちゃんと作品を描くようになったのは大学に入ってからです。友達のグループ展をはじめてやったのをきっかけに作品を作り始めました。なにかもわからないまま、なんとなく個展をしてみたいなって思っていたんです。そこからはじめて地元の福岡で個展を開きました。今は、年に1、2回は展示ができるようなペースで絵を描き続けています。

-今回の展示のテーマは?

実は卒業制作の前に地元で行った個展からストーリーがあって、それが今回の展示にも続いています。
あるとき「リリィ」という架空の人物が私の中で現れたんです。私にとってのリリィはずっと憧れの存在で、追いかけ続ける存在です。リリィは未来の人物で、自分のアトリエで絵を描いているんです。私はリリィを目標にずっと絵を描いているという設定です。

卒業制作のストーリーでは、私はやっとリリィのアトリエにたどり着いたんです。でも、そのときリリィはもう旅に出てしまっていました。

そして今回の個展に続きます。まだリリィは旅の途中で、旅の先々でいろんなものを集めたり、絵を描いたりしてい過ごしています。そんなリリィから旅先で集めてきたものが私のもとに送られてきた、というストーリーです。この展示ではそのリリィからの贈り物を展示しています。

-今後、リリィのストーリーはどうなるのですか?

最終的に、私とリリィが出会って一つの空間をつくれたらいいなと思っています。今後の目標でもあります。リリィも私もまだ探している途中なんです。だからまだリリィの旅は途中だし、私自身も作風を探りながら絵を描いています。それが今後定まってきて、統一感のあるというかひとつのカタチとしてまとめられたらいいですね。

-展示の空間づくりのこだわりは?

私の作品にはストーリーが毎回あるので、ストーリーをより伝わりやすくするために、絵に関連するものを展示しています。花や植物は絵にも描くんですけど、展示空間にもあったほうがしっくりきますね。統一感があるというか、リリィがより表現されるような気がしています。生きているものが作品や空間の中にあると動きがでるので、いつも添えるようにしています。

-特に見てもらいたいポイントは?

入り口近くにあるドローイングが最近のものなので、今の自分に一番近いものになっています。ずっと明るい作品をつくってきたんですけど、これは成長したい意味もあって、大人っぽい絵を描いてみたんです。それこそ、憧れじゃないですけど、レベルアップしたくて。切なさを感じられるけど、そのなかにもちょっと温かさも感じられるような絵を今後も描いていきたいです。

-今後の活動の目標は?

今回の個展をやってみて感じたことでもあるんですけど、やっぱり仕事との両立がなかなかしんどくて。仕事と作家活動を両立している方はたくさんいらっしゃると思うんですけど、私の要領の問題で正直まだ両立ができていなんですよね。

今回は、個展があるからそこに向けて動けたんですけど、なにもないと仕事に比重がいってしまうんです。仕事でやっているデザインと自分が好きで描いている絵がうまくバランスがとれているのがZINEやポスターの印刷物だと思うので、それを作り続けていつかはZINEの原画として展示していけたらな、と考えています。

仕事に慣れてくれば作家活動をする余裕も出てくると思うので、とりあえずの目標は今のデザインの仕事に慣れることですね!


リリィ・クマチャン
1995年生まれ 熊本出身。大阪在住。2018年京都造形芸術大学卒業。
Here is ZINE Tokyo16 一般公募入選|DIVE 2018 京都造形芸術大学卒業生優秀作品展 参加。
個展 Lilyの計画|公募展 雲吞書房|COLLECTIVE 2018|えがく、だるま展 参加。
作家プラットホーム mecelo招待作家。
個展やグループ展、企画展に参加するなど関西を中心に作家活動を行っている。

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