5月23日(木)からギャラリーにて長村マリンさん「Talisman」がはじまりました。2017年ごろから今に至るまでに制作されたコラージュ作品がずらりと並びます。長村さんの世界が詰まった今回の展示、込められた思いをお伺いいたしました!

-自己紹介と普段の活動を教えてください。 

長村マリン(オサムラ マリン) 1994年生まれ 京都造形芸術大学 情報デザイン学科卒 。
今は京都のデザイン事務所でグラフィックデザインをメインにお仕事をさせていただきながら自主制作としてコラージュ作品を制作しています。 

-コラージュを始めたきっかけは? 

大学3回生の秋頃、「自分にとっての楽園」を一枚のポスターで表現するという課題があって、わたしは自分の世界観がわたしとっての楽園というテーマで自分が写った写真を使ってコラージュしたのがきっかけです。 前から自分の世界観を前面に出した作品を作っていましたが、わたしが思い描いている世界をわかりやすく表現することができるのがコラージュだということに気づき、コラージュを作ることにゾッコンしていきました。 

-今回の展示のテーマやコンセプトを教えてください。 

今回の展示は2017年からここ最近までに制作した作品58点を展示させていただいています。 わたしにとって作品をつくることは 自分の頭の中にある非現実に近い世界を現実で見ることができる唯一の手段です。 なので作品はわたしが一番大切にしている自分の想像力を守る”おまもり”みたいなものなんです。 それで今回のテーマは、英語でおまもりという意味の”Talisman”という名前を付けました。 

-長村さんの作品の世界観や発想はどのようにして生まれるのですか? 

うーん。答えるのがすごく難しいです(笑) 小さい頃から海外のファンタジー映画や児童小説が好きでよく観たり読んだりしていたのですが、 非現実的な普通でないことが自分の中で普通になっていて自分でもこんなものがあったらいいなとかこんな人がいたら楽しいなとか 頭の中でひとつの世界をつくるのが好きでした。 どんなイメージかというと、不思議の国のアリスのように全体を見るとひとつの物語になっているけれど、ワンシーンずつ違うキャラクターが登場しチャプターになっているような感じです。 今も変わらず無意識に妄想しているのでどんどん世界が広がっていると思います(笑) 

-作品をつくるうえでのこだわりはありますか? 

作品を作るときに「こういうのを作ろう」というのは全く決めません。 コラージュの素材も配置の仕方も色合いもその場その時に直感的に作っていきます。 そうすると潜在意識の中にあった想像や空想をリアルに表現できると思っているからです。 不思議なことにわたしはこの作り方をすると途中でボツになる作品が生まれません(笑) 
人間誰しもそうだと思いますが、特にわたしは先に決められたことや考えに縛られると自由な発想ができなくなるので 「考えるよりも先に手を動かす」ことを大切にしています。

-お仕事ではデザインをされていますが、デザインとコラージュではつくるうえでの気持ちや考え方に違いはありますか? 

簡単に言うとデザインは他人と向き合う、コラージュ(アート)は自分と向き合うということだと思っています。 デザインはどんなに派手でも実は縁の下の力持ちのようなものでもちろん目立つのは大切ですが、目立ちたがりだけではいけないと思います。如何にその内容ができるだけ多くの人に伝わるかが重要ですし、デザイナーはクライアントさんのお客様まで見据えてデザインしなければならないと思っています。 

コラージュは完全にわたしの頭の中を表現しているので、自分との戦いです(笑) 自分と向き合うことに時々恥ずかしくなったり、嫌になったりするときもありますが、 これはデザインとコラージュ同じ点なのですが、両方ともやればやるほど面白いです。 わたしの生き甲斐だなと思います。 

-今までに影響を受けたアーティストや作品はありますか? 

作品の色合いや雰囲気は主に海外のアーティストの影響が強いです。 映画でいうとティムバートン、テリーギリアム、 写真家でいうとティムウォーカー、マイルズオルドリッチ、 小説家でいうとロアルドダール、ミヒャエルエンデ… 
そして一番影響を受けたのはわたしが小学生の時にグラフィックデザイナーになりたい!と思うきっかけになった、 映画ハリーポッターやファンタスティックビーストの劇中のグラフィックデザインを担当している minalima(ミナリマ)という2人組のデザイナーです。 なかでも百味ビーンズなどいろいろな魔法界のお菓子やいたずらグッズのパッケージデザインが大好きなのですが、 本の中で描かれていたものが映画の中で実物になって出て来て、しかもわたしが思い描いていたものより何百倍も夢のあるパッケージデザインになっていて 子供ながら感動して胸が躍る感覚を覚えています。 今でもグラフィックデザイナーとして、アーティストとして唯一無二の憧れの存在です。 

-今後の活動予定と目標を教えてください。

グラフィックデザイナーとして働き始めて3年、コラージュを始めて5年でまだまだ未熟者です。 どんどん仕事をして、どんどん作品を作って あの人に頼みたいと思ってもらえるようなグラフィックデザイナーになりたいです。