8月1日(木)からはじまりましたアツダマツシさんの個展「うらうら」。
スッキリとした線で描かれたありふれた夏の日常には、うだるような暑さをガラス越しにひんやり涼しい部屋の中から眺めるような、爽やかな心地よさがあります。スケッチや写真ではなく、景色を言葉に落とし込んでから絵にされている…など、興味深いお話をお伺いしました。

-自己紹介と普段の活動を願いします。

イラストレーター/グラフィックデザイナーのアツダマツシと申します。印刷物やWEBなどで使われるイラストレーションと、ときどきグラフィックデザインのお仕事をさせていただいています。

-今回の展示のタイトル「うらうら」とは不思議な響きの言葉ですが、由来はなんでしょうか?

企画当初から自分の日常をテーマとした展示にしたいという思いがあったので、時間の流れであったり、平凡な生活の中にある幸福を感じれるようなタイトルにしようと思っていました。
「うらうら」という言葉は〝日ざしが明るく穏やかなさま〟という意味だそうで今回の展示の趣旨とも合いそうなのと、意味がわからなくても、なんとなくほのぼのとした雰囲気があって、綺麗な言葉だなと思い、このタイトルにしました。

-キャンバス作品や紙へのドローイング、紙粘土にシルクスクリーンなど、色々なメディアをお使いですが、絵に対してそれらを選ぶ決めてはどういったものでしょうか?

この作品にはこの素材でというルールは特に決めていないのですが、壁面全体を見たときに額装した作品ばかりだと、どうしても硬い印象になってしまうので大きい作品や、違う素材のものを織り交ぜることで、展覧会全体の見ごたえがぐっと上がると思っています。今回の展示のレイアウトを考えるにあたっては、縮小した図面をアドビのイラストレーターでおこし、それをもとに各作品の大きさやレイアウトをざっくりを決めていきました。レイアウト通りに絶対展示をするわけではないのですが、最初に用意しておくと、これだけ作らないと展覧会として成立しないぞ…ということが俯瞰して見えるようになるので、制作もはかどるんです。

-今回の製作で意識されたことはありますか?

「すべて原画で展示する!」「作品数を多くする!」「描きたいものを描く!」です。というのも去年もレトロ印刷さんで個展をさせていただいたのですが、ほぼデジタルでテーマもガチガチに決め込んでいたので、自分の中でOKにできる作品が少なくなってしまって…(笑)その時の反省を活かして今回の展示に取り組みました。

-いつも日常の光景を描かれていますが、写真に撮ったりスケッチされたりされているんですか?

スケッチにも挑戦したいのですが、まだそういう勇気がなくて(笑)だれか誘ってくれたら行きます(笑)普段は自分の日常の中で見たものや、経験したことをメモに残したり、いったん言語化したものを絵におこすといったことが多いです。

-夏はお好きですか?

好きですね。住んでいるマンションがかなり山を上がったところにあるのですが、土と梅雨の雨水が混ざったようなにおいがすると、夏がきたな~という気分になります。あと星もむちゃくちゃ綺麗になるので夜に山をのぼる時は、危ないですが夜空を見ながら歩いています(笑)
夏もですが、季節の移り変わりを感じるのもすごく好きで、そういった日常の中にいろんなヒントがあるのかなと常々思っています。

-今年フリーランスになられたそうですが、やってみたいお仕事などありますか?

イラストのお仕事はデザイン会社さんや出版社さんから依頼を受けてプロジェクトの一部分でお手伝いするといったことがほとんどだと思うのですが、それだけではなくて個人の方と一緒に考えながら作るような仕事も機会があればやってみたいですね。たとえば、お店の立ち上げに関わるお仕事や、ブランドの構築、CDのジャケットとかにも興味があります。元々が制作会社のデザイナーなので、デザインとイラストも込みで仕事を受けれるのが強みだと思っています。

-最後に、今後の予定や目標をお聞かせ願います。

今回のような展示も自分の実験の場として気まぐれにできたらいいなと思っています。
また、今いただいているお仕事にも丁寧に取り組みつつ、憧れているクリエイターの方たちにも自らアポを取って、一緒にお仕事をしたいなと思っています。目標としては、今までやってきた、絵を描くことやデザインのノウハウを活かして何かヒットするものを生み出したいです。それが漫画なのか、アニメーションなのか、はたまた全然違うものなのかはわかりませんが、引き続き模索を続けていこうと思っています。