4月28日から5月10日まで開催中の小部屋さんによる個展「THRONE」。
繊細な描写が特徴の作品がたくさん並び、作品をモチーフにした缶バッジやシールなどのグッズも展開しています。作家の小部屋さんに、展示や作品についてお話をお伺いしました。

-自己紹介と普段の活動を教えてください。

初めまして、絵を描いている小部屋と申します。2003年生まれの18歳で、今はフリーターとしてレトロ印刷の2階で働かせていただきながら家に帰ったら絵を描く、みたいな生活をしています。

-今回の展示のタイトルの由来やコンセプトをお聞かせください。

今回のタイトルの『THRONE』と言う英単語は、日本語で〝階級〟〝王位〟などの意味を持つ言葉です。
普段あまり関わりの無い言葉だと思うんですけど、この展示会を準備する期間で高校を卒業したり、初めて東京に行って見た物だったり色んなものに触れて掴んだ感覚が「THRONE」でした。
突拍子も無い話しですが、タイトルの決め手になったのは歯医者での出来事なんです。最近通院し出したんですけど、初診の人用にカルテを作るための問診票を渡されて。そこで名前やら住所やら電話番号やら書いていって、「職業」とある欄でピタッとペンが止まりました。高校を卒業したばかりで気分はそのままだけど周りは大学に行っていて自分はフリーターだったりとかが、「なんか最近俺ってフワフワしてるな…」みたいな気分になって違和感を覚えました。
その前から展示会の予約自体は確定していたんですけど、コンセプトを決める事もままならなくて「あっ、これだ 職業とか階級的なテーマで行こう」となって出来たのが小部屋個展“THRONE”でした。

-作品のアイディアやインスピレーションはどこから着想されているのですか。

基本的には頭の中にあるイメージやら言葉を粘土みたいにこねくり回して、なんとなく作品にテーマが乗っかったかなという所で好きな音楽を聴いたりしてアクセントを付けたりブラッシュアップしていく形です。
もちろん好きなアーティストの歌詞からそのまま引っ張ってくる事も有ります。最近ではスウェーデン在住のbladeeと言うアーティストのアルバム ”EXETER” とかをヘビロテしてかけながら描いてたりします。

-今回の展示の概要として「学生時代に描かれていた絵と、卒業してから描かれた絵の感覚の違いと共通点」と書かれていましたが、具体的にはどのような点がありましたか?

これに関しては描き手の自分自身としては凄く収穫があったかなと思います。
個人的にあまり大きく絵の幅を変えると言うのは好きではなくて、以前の作品と何らかのシンパシーを感じてもらいながらも、新しい小部屋の掴んだ感覚というのを皆さんには感じて欲しいなといつも思っています。そういう意味では今回新しく作った大きな3作品はとても良い仕事をしてくれたと思っています。
具体的には、これからの小部屋の作風に繋げる為の幾つかのポイントを織り混ぜながらも、大的なイメージとしては過去の作品と色味や画風が似ている、という所ですね。
そして高校時代との違いの点ですが、これに関しては明確に変えた所が大きく分けて三つあります。
一つ目は極端なバイオレンス表現を控える事。これは制作当時の精神状態による所が大きいので、今の自分のメンタルとしては「控える」と言うより「他に描きたい物が有るので描かない」というのが近いかもしれません。
次に二つ目ですが、絵の空気感が絵の外に広がる様な作品を目指しました。これは自分にしか分からない違いかも知れないですが、今までは「ここを見て!ポイントはココ!」みたいな絵が多かったんですね。それは絵としては当たり前で、絶対的な正解ではあるんですけどその為に絵のイメージが縮こまっちゃうのが自分にとってはあまり良くなかったんです。だから、絵の主題は起きつつも絵の中の空間の「外側」を鑑賞者に想起させる様な配置だったり空間設計を試みました。これは今自分が目指す作風には欠かせない事だったので、ココで試せて良かったです。
三つ目は、一つ目とニュアンスとしては近くなるんですが「自分の地位が確立されていない事に対する存在の浮遊感」と言うものを目指しました。今までと違って全部の絵が”展開が予測できない”という点で一致していると思っていて、それが凄く面白いし武器になるんじゃ無いかな〜と思っています。

-細かく描写された作品が印象的ですが、どういった方法で描かれているのですか?

父から貰ったiPad proと、そこに入っているprocreateと言うアプリを使って描いています。ズームインズームアウトを繰り返しながら細かい所、粗い所を調整して描いています。

-紙の作品だけでなく、布へのプリントやグッズなども多く制作されていますが、今後挑戦したいモノ作りなどはありますか。

まずは自分のアイコンに使っている「小部屋エンジェル(仮名)」のアクキーとフィギュアですね!次に絵とは関係無くシルバーアクセサリーやアパレル展開に挑戦してみたいなと思っています。

-最後になりましたが、今後の予定や目標もぜひお聞かせください。

分かりやすい目標って言われると年内IGフォロワー2000人とかになりますけど、本当は色んな人、色んなところに足を運んで刺激を受けまくって、自分の「かっこいい」を突き詰めていければ良いなと思っています。


プロフィール

小部屋/Kobeya

2003年生まれ 18歳名前の由来は、小さい部屋から色々な絵を作り出してきたから です。

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