12月11日から12月19日まで開催中のMONさんの『日独ZINEプロジェクト STUDENT ZINE EXCHANGE PROJECT ZINE表現のリアル&デジタル』。成安造形大学(日本・滋賀)とマンハイム専門大学(ドイツ)の学生・合計67名が、レトロ印刷で1〜2色の8ページ折りZINEを制作、交換し、交流するというこのプロジェクト。皆さんのZINEを展示中です。今回のプロジェクトやZINEの制作についてMONさんにお話を伺いました。

-自己紹介と普段の活動を教えてください。

MONと申します。長年、イラストレーターとかエッセイ漫画家などをしてきました。いまは滋賀の成安造形大学でイラストを教えるのがメインの仕事です。あとは、zineを作ったり、ZINE DAY OSAKAというzineのイベントを共同主宰したりしています。

-今回の展示のテーマやコンセプトを教えてください。

ドイツのマンハイム専門大学のデザイン学科は成安造形大学と提携してまして、3年前、ここの先生や学生たちが日本に修学旅行みたいなかんじでいらしたときにアテンドしました(レトロ印刷にも見学に!)。そのときも大学で学生が共同でzineを作るワークショップなどをしたんですが、また一緒に何かしたいなと思ってはいました。そのうちコロナ禍となってしまって、ZINE DAY OSAKAもそれまでのように参加者さんのブースで直接販売などをとりやめ、A3から作る折りZINEの参加というようなかたちですることになりました。このかたちなら、ドイツと日本の学生も一緒にできるなと思い、大学の助成金事業に申し込んだらOKが出ました。
双方の学生から参加を募集したところ、両方二日くらいで合計70名を超える希望者が集まりました。ZOOMで日独をつないで説明会を開き、レトロ印刷さんにはドイツからの入稿も対応していただいて、無事みんなの印刷物ができました!参加者は各自20部と、他の参加者さんのZINEを受け取ります。お互いの作品をみてインスパイアしあい、交流が生まれればという趣旨です。また、デジタルとアナログ、双方の特性を生かしたプロジェクトとして考えました。

-「ZINE」はとっても自由なイメージがありますが、どんなものですか?

簡単にいえば、自分で作る本、ということで、ほんとに自由にそのとき表現したいことを書いて冊子にするってかんじですよね。印刷方法もなんでも、いっそ手書きでも。わたしはかれこれ45年くらい前から同人誌みたいなものを作ってきましたが、コピー誌とかノートに書いて見せ合うとか今でも愛してます。同人誌でもアートブックでも色々呼び方はあるとは思うんですが、ぜんぶ内包したかんじかなーと思います。

-リソグラフで印刷することにこだわった理由はありますか?

今回のプロジェクトでは特に、瞬時にデータや情報を送ったりシェアできるデジタルツールの利用とともに、リアル感を強く出したいと思っていて、それには完成のイメージが手に取るまで完全にはわからない部分のある、アナログ感のあるリソグラフ(紙の手触りとか、インクのカスレとか、インクが手につくとか)が最適だなと思いました。

-JAMでは何度も展示やイベントを開催していただいてますが、国内外でもたくさんZINEに関するイベントをされていますね!海外との交流が多いのはなぜですか?

SNSで発信していると、わりと簡単に海外とも繋がれて、イベントにも参加できるんだなとかわかってきて楽しいです(はやく参加できるようになってほしい・・・)。ZINE DAY は、レトロ印刷さんが台湾に出店されたときに、ZINE DAY台湾もできちゃう?なんて話していたら、わりとするすると実現し、大阪でも毎回ドイツやインドネシア、台湾、香港などから参加者さんが来てくれて楽しいです。
ソウルのアートブックフェアの主催者さんとは東京アートブックフェアで何度かお会いしているうちにSNSで参加できるんだとわかり行ってみたりしているうちにギャラリーでpop upショップをやらせていただいたりzineの韓国語版を作っていただいたり、コペンハーゲンのイベント主催者さんからは「参加しません〜?」とかってすごいカジュアルにメールが来て「行きます!」って即答したりみたいな、わりと軽々しくやってます。サンフランシスコには一度参加してものすごく楽しくて、また参加したいと思っていたらコロナ禍になっちゃって、去年はネットでグループ発表みたいなのに参加したんですが、ZINE DAYっていうフェアを日本でやってるよーと言ったら、知ってる知ってる!って言ってくれた人がいて、これも嬉しかったです。

-今回参加された学生さんはやMONさんは、普段どんな研究をされていますか?

今回参加の学生は、学年や専攻を問わず全体に募集をしたので、デザイン、イラスト、油絵、日本画、プロダクトデザインなどなど、いろいろな勉強をしています。

-作ったZINEを「エクスチェンジ」!とっても魅力的な響きですね。ZINEを通してどんな繋がりが生まれていますか? 

販売するのももちろんですが、交換というのも楽しくて、思いがけないふだんは接することがない表現や情報に出会えることがあります。今回のエクスチェンジもそうですが、ZINE DAY OSAKAでも誰でも参加できるエクスチェンジのコーナーを毎回作っていて、そこで出会った人たちがSNSなどで(海外とも)交流したりしているのは楽しいですね。

-ワークショップなど「リアル」の活動をたくさんされているMONさん。「リアル」と「デジタル」どちらも良さがありますが、今後どんなふうに活動していかれますか?

どちらかというと、リアル目な気持ちなのですが、デジタルは便利なので、使わせてもらうぜというかんじです。コロナでいちばんよかったのは、リモート会議がとっても便利とわかったことでしょうか・・・。

-最後になりましたが、今後の予定や目標もぜひお聞かせください。

移動できるようになったら、またあちこちのZINEイベントに行きたいです〜(旅したい)。


MON

1980年代よりイラストレーター、エッセイ漫画家など。ZINEを作ったり、ゆるいZINEイベントZINE DAY OSAKAを共同主宰したりしています。主な著作『ザ・カリフラワーズトーク』(講談社コミックモーニング連載分)『おしゃべりニューヨーク』(集英社ヤングユー連載分)など。成安造形大学にてイラストレーションを教えています。

website:https://www.monmon.press/

ZINE VOYAGE(日独学生プロジェクト)
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