
レトロ印刷には一般的なフルカラー印刷とは違う、いろんな特徴があります。ズレる、カスレる、インクが定着しないなどなど…
そんな中でも、特におもしろい特徴が「混色」です。

レトロ印刷のインクは半水性です。そのため、インクを重ねるとインク同士が透過し、色が混ざったような仕上がりになります。それをレトロ印刷では「混色」と呼んでいます。
2色が重なるレイアウトで印刷してみる


2色が重なった部分は色が混ざるためちょっと深みが出て、レトロ印刷ならではのおもしろい仕上がりになります。
重なる部分の濃度を調整してみる
レイアウトの濃度を変えてみると、また少し仕上がりが変わります。若葉版の一部を100%から50%に変更してみると…


若葉を50%にすると、朱版のほうが強く発色するようになり、重なった部分は赤みが強くなりました。
2色の刷る順番を変えてみる
2色の印刷する順番を変えても発色も変わります。これまでは若葉版が上になるよう印刷していましたが、逆にして朱版が上になるように刷ってみます。


朱版が上に乗るような順番で印刷してみると、同じ濃度でもガラッと発色が変わりました。上に乗るインクのほうが強く発色しますね。印象がけっこう変わってくるので、印刷順にご希望がある場合は、ご注文時に「〇色版を上に!」などご指定くださいね。
2色のインクを変えてみる
今度は同じレイアウトを使って、インク色を変えて刷ってみました。若葉インクを淡いパステル調の「アクア」に、朱インクを深めの「ボルドー」にしてみました。


明るい発色のインクは暗いインクに負けてしまい、濃度によっては見えにくくなる場合もあります。組み合わせによって大きく変わるので、いろいろチャートを使って濃度を調整するのもオススメです。

インクが半水性なので、インク同士だけでなく紙の色にも影響を受けます。紙とも混色って感じですね。白い紙はインクのイメージ通りですが、色のついた用紙はインクによっては発色が大変身するので、要注意です。
混色したくないときはどうするの?
いやいや2色を重ねたくない!混色はイヤだ!というときは、デザイン同士が重ならないよう、白く抜いておきましょう。(色がついていなければ印刷されませんので、白を乗せて隠すだけでもOKです。)


混色するしないで、またまたガラッと印象が変わりました。インクの色をそのままクリアーに見せたいときは、混色しないようにレイアウトを作りましょう。ただし、レトロ印刷はどうしてもズレが生じてしまうので、細かい抜き合わせは結局ズレて混色してしまうかも。ズレが気になる部分は、混色させてしまった方が目立ちません。
慣れるまではちょっとややこしいかもしれませんが、ぜひヌキ&ノセを操って、おもしろい印刷にチャレンジしてくださいねー!

レトロ印刷は、リソグラフ(デジタル孔版印刷機)での印刷を専門とする印刷所です。『印刷のタネ』ではレトロ印刷の入稿のコツや使い方を、『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。
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