インクが残っている状態で版を置いておくとメッシュにインクが詰まってしまい、デザインが欠けてしまったり、版が使用できなくなってしまいます!

だいたい何分くらい放置しているとダメになるのか」「どう対策すれば詰まらないのか」わからない方も多いと思います。今回はそんな疑問にお答えして実験をしてみました!これから作業をするときの参考にしてみてください。

何分放置すると目詰まりが起こるか

この実験ではインクが残っていないキレイな状態で印刷したものと、インクが残った状態でそれぞれの時間放置したものとで比較していきます。
また、インクの種類や、メッシュの大きさによって詰まるスピードが変わるので そこも注意して見ていきます!
まずは通常色のブラックで印刷していきます◎

版がキレイな状態で1枚印刷してみました!細かい線まで良く刷れています〇
ここが実験の基準になってくるのでよく見ておいてくださいね~。

1分放置

印刷後、何もせずに1分版を放置してみました。
何もしない状態だと下の写真のように図案のところどころにインクが残った状態になります。

キレイな版
1分放置した版


印刷してみると…

パっと見た感じは1枚目と変わりませんが、よく見てみると細かい線が掠れていますね。 線や抜きが細い部分はベタと比べると特にインクが詰まりやすい印象です。

5分放置

次はちょっと長めに5分放置してみます。
素材を入れ替えたり、位置を合わせたりしているとあっという間に過ぎる時間ですね。どうなるのかやってみましょう。いざ!!

薄い!!!!!

1枚目と比較すると一目瞭然!今度はベタのところまでインクが乗らずにぼんやりした仕上がりになってしまいました。全体的にカスカスです…。
印刷後の版も確認してみると、

ところどころの話ではないレベルでインクが残ってる!!
黒い部分は全てインクです。どれだけ落ち切らなかったのかよくわかりますね。

ちなみに、作業中に室内で暖房などをつけていると空気が乾燥してよりインクが詰まりやすくなってしまうので注意が必要です。

10分放置

最後は10分放置してみましょう!
5分でもインクは詰まってしまいましたが、さらに時間が経つとどうなるのか確認していきます。

1枚目に印刷したもの
10分放置してから印刷したもの

なんとなく予想はできていましたが、さらにしっかり詰まってますね。


インクで図案が埋まってしまい、どこに何のデザインがあるのかわからない状態になってしまいました。ここまで詰まると版を洗っても下の写真のようにインクが残ってしまい、1枚目と同じように印刷するのは難しくなります。

KOTTTERIホワイトの場合

次は少し乾燥速度が速いKOTTERIホワイトの場合の実験です!

今回はJAMで推奨している「70メッシュ クリーナーあり」の状態で印刷したもので実験していきます。通常のカラーインクよりもどのくらい詰まりやすいのか注目して、まずは印刷結果をどうぞ!

1枚目に印刷したもの
1分放置してから印刷したもの

5分放置してから印刷したもの
1分放置してから印刷した版
5分放置してから印刷した版

※KOTTERIインクは詰まりやすいため今回は10分での実験は割愛しています。

どちらも細い部分からインクが詰まってしまいました。版を見てみると残ってるインクの面積が増えたのがよくわかります。
通常色もKOTTERIホワイトもそのままの状態で放置すると版に残っているインクは乾いてしまい、5分も経つ頃には大部分がインクで詰まってしまいました。

目詰まりを防ぐ対策!

ここまで来てインクの詰まりを解消する方法は何かないものかと思い始めた方もいるんじゃないでしょうか。「毎回版を洗うのは手間がかかる!」「あと1枚刷りたいだけなのに」そんなときに以下の方法を知っておくと安心です。
それはズバリ……

版の裏側を拭いてあげる!


版の裏側を濡らしたウエス(Tシャツの切れ端など柔らかい布地がベスト!)で、キレイに掃除していく方法になります。この時、ウエットティッシュや、雑巾・タオル等は繊維が残ってしまうのでオススメしません!

①濡れたウエスで全体に水分をつける(さっと)

図案の穴が開いているところを水分をつけるようにさっと拭いていきます。

②乾いたウエスで汚れ、水分をふき取っていく

円を描くようにクルクルと、インクが付かなくなるまでしっかり拭いていきます。ウエスの面を変えながら拭いていきましょう。この時、ゴシゴシ強くこすり過ぎると版が傷ついてしまうので力は入れすぎないように注意が必要です!

濡れたまま次の素材に印刷すると下の写真のように刷り上がりが滲んでいたり、余白のところまで汚れてしまうので忘れずに拭いてくださいね。

キレイに全体を拭き終われば、版の表面にインクが残っていても大丈夫◎

インク拭きとり前の版
インク拭きとり後の版

文字が見えてきましたね!向こう側が見えるまで掃除していくのがポイントです。
拭いても変わらない場合は、詰まっている可能性が高いので水洗いしましょう!それでも落ちない場合は、あきらめて新しい版を作ることをおすすめします。

さて、これでインク詰まりの掃除ができました!しっかり掃除した版であれば5分以上放置してもきれいに印刷が可能です◎

1枚目と比較すると…

見えなくなっていた細いところも印刷できました!
作業時の環境でも左右されますが、印刷と印刷の間で時間が空く場合は必ず裏面を拭いてから別の作業をしましょう!そうすることで版が長持ちしますよ~!

まとめ

・印刷後版を放置すると、通常インク、KOTTERIホワイト、どちらも約5分で目詰まりが起きた。
・印刷中に他の作業を行う場合は必ず裏面をきれいに拭いてから行いましょう!


※印刷環境でも時間は左右されます。冷暖房や直射日光など乾燥しやすい場所で行う場合はより注意して作業しましょう。分数はあくまでも目安となります。

今回の実験を通して「インクって乾くの早いな」と改めて感じてもらえたかと思います。少しの間でも放置してしまうと詰まりの原因になり、せっかく作った版も使えなくなることに…。
特に粘度の高いインクや、細かいメッシュを使うときは より意識して作業してみてください。

それでは、上記ポイントに気をつけて良いシルクスクリーンライフを!



今回使用した道具

SURIMACCAインク
ブラック
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SURIMACCAインク
ホワイト
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ウエス
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SURIMACCAは、シルクスクリーンの製版サービスやオリジナルキットの開発のほか、シルクスクリーンの作業場を全国に拡げるプロジェクトを行っています。『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

SURIMACCA
https://surimacca.com/
06-6485-7350(10:00~19:00)