
モケモケミックスは、好きな色のインクに混ぜて乾いた後にアイロンに当てると、モケモケと毛羽立たったように膨らむ、おもしろい特殊インクです。
推奨混合割合は2:1なのですが、今回はこの割合をあえてバラバラにしてみて、果たしてモケモケミックスのグラデーションのみで表現することは可能であるのか…?を実験していこうと思います。
製版時の注意
モケモケミックスには膨らませるための粒子が入っているので、製版する場合は目の粗い70メッシュを使用しましょう。
JAMのWEB SHOPからご注文いただく場合は、70メッシュにクリーナーをかけて、さらにインクの通りをよくした70メッシュ(クリーナーあり)をお選びください。
またアイロンの熱でモケモケさせるインクなので印刷する時は熱を通しても良い素材を選びましょう。
インクの準備をする
モケモケミックスは単体では使用することができないインクです。他のSURIMACCAインクとしっかりよく混ぜてお使いください。

モケモケミックスの割合が多い程モケモケ度が強くなりますが、定着が弱くなりぺりぺりと剥がれてきてしまうのでご注意ください。また、モケモケミックス自体は半透明ですが、熱を加えると白く膨らむので、モケモケミックスをたくさん入れるとインクの色も白っぽく変化します。
今回は用意するインクの割合を
2:1、1:1、1:2(モケモケミックス:SURIMACCAインク)
の3段階に分け、果たして割合の差だけでの表現は成立するのか実験してみたいと思います。
モケモケ具合にも好みがあると思いますので、是非使うときの参考にしてください!

この段階ではモケモケの割合が多いほど白っぽく見えますね。
混ざり方にムラがあると膨らみ方がまばらになってしまうので、容器に白い部分が残らないよう念入りに混ぜてください。
図案を用意する
今回はこちらのデータを用意しました。3匹の豚ちゃんです。


印刷する
今回は色の変化が分かりやすいように、

まっくろ・しろ・ねずみ の三色の厚紙に印刷していきます。
先ほど混ぜたインクを使用します。今回はモケモケミックスの割合の変化を見たいので一色のみを使用します。


刷り方や刷り上がりは通常のSURIMACCAインクで刷った時と違いはありませんが、やはりモケモケミックスが多いインクの方が発色が良いです。そして若干ですが手で触ると厚みも違うのがわかります。
モケモケミックスで多色プリントを刷る場合は、すべての版を刷りきってから最後にまとめてアイロンをしましょう。
③アイロンにあてる
全ての版を刷り終えたら、一気にアイロンをあてていきます。
しっかり乾いた印刷面の上に、あて布(クッキングシートなど)をしてアイロンをします。

モケモケミックスの膨張開始温度は【120~135℃】
最大膨張温度は【175~185℃】
最大膨張温度を超えると反対に縮んでしまうことがあります。
家庭用のアイロンの場合は【中~高】程度の熱を加えます。
※スチームは使用しないでください

今回は濃度や重なりなどの差があったため、印刷面からアイロンをあてても変化の強い場所と弱い場所ができてしまいました。
そこで印刷面ではなく裏面からアイロンをあててみることに。すると、ムラなくきれいにモケモケしてくれました!

アイロンをかけるとき圧をかけすぎてしまうと膨らみを押さえつけてしまうため、膨らみが弱くなってしまいます。しかし圧が弱すぎても膨らんだインクがペリペリと剥がれやすくなってしまうため、ほどよく圧をかけてアイロンしましょう。
仕上がり



「図案を用意する」で紹介したように、アウトラインと豚ちゃんごとに濃度を変えていますが、その差がはっきりと目で見て分かります!
モケモケしすぎるとはがれやすいのでやはり最大の量は1:2(モケ:スリマッカ)なのだろうと思います。薄いところはフロックシートのような仕上がりになりました。
また今回はグラデーションの実験でしたが、豚ちゃんが重なり合っているところも濃く変化していてまるで透けているような表現となりました。おもしろいですね!
モケモケミックスを使うときの参考にしてください~!
まとめ
モケモケは摩擦に弱いので、必要以上に強くこするとモケモケが剥がれてしまう恐れがあります。
またアイロンをかけるときに下の台が柔らかいとモケモケが定着しにくくなってしまう恐れがあるので、潰れない程度にしっかりと圧をかけると良いです。ぺりぺりとはがれやすくなってしまいます。
今回のように濃度に差がある場合は印刷面の裏からアイロンをあてると、まんべんなく熱が通り均等に膨らみます。
また今回は紙に印刷しましたが、布にモケモケされる場合は、洗濯方法に気をつけてください。優しく手洗いしていただくことをおすすめいたしますが、洗濯機をご使用される場合は、裏返してネットにいれるなど、印刷面に摩擦が少なくなるよう工夫してください。
今回使用した物

SURIMACCAインク
ネオンピンク
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SURIMACCAは、シルクスクリーンの製版サービスやオリジナルキットの開発のほか、シルクスクリーンの作業場を全国に拡げるプロジェクトを行っています。『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。
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