レトロ印刷でできる特殊印刷「ツヤプリ」を知っていますか?
そもそもレトロ印刷自体が特殊印刷感ありますが…
ゴワゴワガサガサとマットな風合いのレトロ印刷に対して、
印刷部分がぷっくりツヤッと膨らんで、ついつい触りたくなるような
立体的な仕上がりになるおもしろい印刷手法が「ツヤプリ」です。


ツヤプリの印刷手法


印刷方法は通常のレトロ印刷と同様リソグラフという孔版印刷機で行いますが、
刷った直後のまだインクが乾いていない状態の印刷面に
発泡性の樹脂の粉をふりかけ、そのまま高温(約400度!)で樹脂を溶かすと、
印刷部分がツヤッとコーティングされて仕上がります。

印刷部分が樹脂でコーティングされるので、なんと!
インクが色落ちしなくなるんです。
ツヤ感や凹凸を楽しんだり、色移りを防いだり、
通常のレトロ印刷と併用して質感の差を取り入れたりと、
「ツヤプリ」はアイデアの幅がぐっと広がるおもしろい印刷です。

ツヤプリはニス加工のようなものと思われがちですが、
印刷するところまでは普通のレトロ印刷と同じなので、透明インクだけでなく
お好きなインクでツヤプリをすることができます。(ただし金インクのみ不可)
レトロ印刷を刷った上に別途透明ツヤプリ版を重ねるわけではなく、
印刷部分に直接樹脂の粉を付着させるので、印刷とツヤの位置はズレません。

使っているインクや印刷機はレトロ印刷と同じなので、
色ムラやカスレ、にじみ、色同士の混色などの印刷特性は同じです。
樹脂がプクッと膨張して見えるので、細かいデザインは
レトロ印刷以上に潰れやすくなります。


レトロ印刷とツヤプリの発色の違い


では、ツヤプリの発色は…?
ふりかける樹脂の粉自体は無色ですが、樹脂が高熱で溶けると
水で濡れたような風合いになります。
インクと樹脂が重なることで、元のレトロ印刷の発色と比べて
色が少し沈んで深みが出ます。

実際に刷ったものをスキャナで取り込んでみたものです。
(ツヤプリの立体感が分かりにくくてすみません。)
実物とは多少見え方が変わってしまっているとは思いますが…
よーく見ると、若干ツヤプリのほうが色が深いのがわかるでしょうか?
他のインクでも刷り比べてみると、こんな感じです↓

多少色が深くなるものの、白い紙であればそこまで大きな変化はありません。
が!色のついた紙に印刷すると、なんとなんと大きく変わります!
水に濡れたような発色をするので、紙に染みたようになり
紙の色が透けてレトロ印刷以上に発色に影響するんです。

厚紙から代表して4種でレトロ印刷とツヤプリを刷り比べてみました↓

比べてみると、紙によってはずいぶん変わるものがありますね!
やはり色の濃い紙・暗い紙は大きく違いが出ています。
「まっくろ」に至っては、元のインクが何かわからないレベル??

ほかのインクでも刷り比べてみました。

黄インクや蛍光インクのように明度の高いインクは、
ツヤプリになると大きく色が変わるので注意してください。

せっかくなのでツヤプリで大活躍の「透明インク」でも刷り比べてみました↓


透明インクはもちろんレトロ印刷でも使うことができますが、
名前の通り透明なので、ほとんど印刷が見えません。(ちょっと水が染みた程度)
でもツヤプリで使うと無色でもツヤッと膨らむので、グッと存在感がUPします。
色のついた用紙で使うと、よりおもしろい仕上がりになりますね。


発色の確認は「試し刷り」「いろいろチャート」を活用しよう


インクの色数が多いため、全色の発色をご紹介はできませんでしたが、
今回紹介できなかったインクのツヤプリの発色について気になる場合は、
本注文の前に「試し刷り」または「いろいろチャート」のご利用がオススメです。

もうおおよそのデザインが決まっている場合は、実際のデータで「試し刷り」を。
まだデザインがぼんやりしている場合は、データ不要で発色の確認ができる
「いろいろチャート」が便利です。


いろいろチャートは2色選べるので、2色ともツヤプリでも、
1色はツヤプリ、1色はレトロ印刷の混合パターンもOKです。
質感の違いを試してみるのも楽しいかもしれません。
同じ色でツヤプリとレトロ印刷のいろいろチャートも、マニアックでよいかも…

ツヤプリの特性と発色を活かして、一歩踏み込んだ印刷で遊んでみてくださいね!

レトロ印刷は、リソグラフ(デジタル孔版印刷機)での印刷を専門とする印刷所です。『印刷のタネ』ではレトロ印刷の入稿のコツや使い方を、『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

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