「シルクスクリーンでグラデーションを刷りたい」
「データ上では綺麗に見えるけど実際に刷るとどうなるの?」

というお声をいただき、

「美しく刷ることのできるグラデーションデータはどうやって作ればいいのか!?」

スタッフが実験してみました!

他のグラデーション

シルクスクリーンは版の上で直接色を作ってグラデーションを刷ることもできます!
詳しくは下記記事にて紹介しておりますので、こちらをチェックしてみてくださいね!
【ラボ】シルクスクリーンでグラデーション印刷 

また、今回の実験で使用したソフトはillustratorですが、別ソフトのPhotoshopでハーフトーン効果を使用した実験もあるので、興味のある方はぜひチェックしてください!
【ラボ】写真データの作り方(1色プリント編)

グラデーションデータを作る(使用したソフト:Illustrator)

グラデーションを作る際にはillustratorの機能(「グラデーション」 or 「ハーフトーン効果」をよく用いてデータを作られます。
今回はillustratorのグラデーションの機能を使ってデータを作ってみたいと思います!
シルクスクリーンの製版機は、原稿の濃い部分は濃く、薄い部分は自動的に網点になって版をつくります。
本来であれば白色と黒色でデータを作っていきますが、グレーの部分がどう網点になって印刷できるのか見ていきましょう!

今回の実験データでは【グラデーションのはじまりの濃度を変更】して0%、5%、20%、40%にグラデーションを分けて印刷していきます!
そして、実験のためデータ作成の際に「グラデーションスライダーを50%」に調整しています~!

完成したデータがこちらです!
(横向きになっちゃっいました!(笑))

果たして0%、5%、20%、40%のグラデーションはうまく刷れるのでしょうか、、、?(おそらく0%はパキッと分かれてしまうきがします、、)
そして、シルクスクリーンの版には目の細かさがあります。120メッシュは細かく、70メッシュは目の粗い版になっています。
なので今回は120メッシュと70メッシュの両方で印刷したときの違いも一緒に実験していきます!

刷り方

せっかくなので、美しいグラデーションを刷るために2パターン実験していきましょう!
①濃度の薄い方から印刷する
②濃度の濃い方から印刷する

印刷するもの

厚紙
やわらかい布
キャンバス地

以上の3種類で実験していきます!
(キャンバス地は生地がでこぼこしていて刷りずらい可能性大!)

印刷実験してみた!

下準備として、厚紙の下にはMDFパネルにスプレーのりをかけて厚紙をセッティングします!
今回は実験結果を見せたいため、版の張り方を省略しています。そのため版の張り方についてはコチラをご確認ください!➡HOW TO 版の張り方

【厚紙:70メッシュ】

薄い方から印刷
濃い方から印刷

実験結果として、両方とも70メッシュが目の粗い版なので印刷した時にそのまま版の目が出てしまっています・・・。
インクが多めに出すぎてグラデーションの濃い部分が濃くなっている&インクのムラが多い気がしますね、、、
そして若干ですが、薄い方から印刷した場合、濃い部分のインクの量が多く出てしまう印象です。

0%・・・はじまりが消えて見える
5%・・・0%とほぼ同じ状態
20%・・・0%よりは伸びて見える
40%・・・始まりのグラデーションが少し見える

40%がはじめのグラデーションが一番綺麗に印刷できている、、、?
さあ!どんどん刷っていきましょう!!次は120メッシュです!!

【厚紙:120メッシュ】

薄い方から印刷
濃い方から印刷

美しい!
70メッシュで厚紙に印刷した時はインクが多めに出ていましたが、120メッシュで印刷するとインクの量が抑えられて美しいグラデーションが印刷できているのではないでしょうか?厚紙に120メッシュで印刷する時は薄い方から印刷すると綺麗にグラデーションが印刷できました!

0%・・・はじまりが消えて見える
5%・・・0%とほぼ同じ状態
20%・・・0%よりは伸びて見える
40%・・・始まりのグラデーションが少し見える
★細かくて綺麗なグラデーションが印刷できる

【やわらかい布:70メッシュ】

薄い方から印刷
濃い方から印刷

おやっ!?
印刷する方向が違っても刷り上がりの印象はほとんど一緒ではないでしょうか?

0%・・・はじまりが消えて見える
5%・・・0%とほぼ同じ状態
20%・・・0%より少し伸びて見える
40%・・・始まりのグラデーションが少し見える
全体的にインクが濃い印象がありますね!

【やわらかい布:120メッシュ】

薄いほうから印刷
濃いほうから印刷


どちらも綺麗に網点が表現されていますね~!
しかし、刷るときの力加減や角度によって色むらが出てしまうのが難点です、、、0%・・・はじまりが消えて見える
5%・・・0%とほぼ同じ状態
20%・・・0%より少し伸びて見える
40%・・・始まりのグラデーションが少し見える

【キャンバス地】

最後にキャンバス地です!方向は薄い方から70メッシュと120メッシュ同じ向きで印刷していきます!

70メッシュを使用
120メッシュを使用

キャンバス地は生地の目が粗いので70メッシュで印刷するとインクが全体にのって綺麗に刷れているのではないでしょうか、、、?
注意点としては、インクが出やすいので濃い部分に向かって滲み潰れてしまう可能性があることです!

120メッシュで印刷すると力の加減によって掠れてしまう可能性が大大大ですね!
スキージーにしっかりと力を入れて角度をきにしつつ印刷したつもりでしたが、かすれてしまいました~
私個人の好みになりますが、キャンバス地に印刷するときは70メッシュの方がインクがのりやすくて良いと思いました~。

キャンバス地の刷りはじめ比較

0%と40%だと微かに40%の方がグラデーションのはじまりが出ているのではないでしょうか、、、?

まとめ

■濃度に関して

今回の実験では、美しいグラデーションを印刷するためにはグラデーションのはじまりの濃度を40%にすると一番綺麗に見える!
薄い方から印刷すると綺麗にグラデーションが印刷できました!

■メッシュ数に関して

紙素材や繊維の細かい布素材には120メッシュがオススメ
布の表面がでこぼこしている素材に関しては70メッシュで印刷しても良いかもしれません!

■グラデーションの注意点

★印刷するものの素材や刷り方によってインクのムラが出やすい!
★120メッシュ・70メッシュで印刷した場合赤丸部分のようにうっすらと境目が見えやすくなってしまう、、、?

今回の実験でグラデーションを刷る時はインクの量やスキージーの角度・力の入れ具合によって仕上りの印象が変わることがわかりました~
みなさんもお好きなグラデーションを見つけて是非印刷してみてくださいね~!
もちろん、データづくりでわからないことや刷り方で分からないことがあればJAMのスタッフにお気軽にご相談ください!

今回使用したもの

SURIMACCAセット
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SURIMACCAインク(ブラック)
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SURIMACCAは、シルクスクリーンの製版サービスやオリジナルキットの開発のほか、シルクスクリーンの作業場を全国に拡げるプロジェクトを行っています。『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

SURIMACCA
https://surimacca.com/
06-6485-7350(10:00~19:00)