【クリエイターインタビューvol.63】池田はち

2021/12/05（日）

11月25日から12月7日まで開催中の池田はちさんの『絵本原画展くもやのもーくん』展。色使いやタッチのやわらかいはちさんの原画を間近でゆっくり観ることができます。展示の帰りには空を見上げてくも屋さんがつくった雲を探したくなる、そんな空間が広がっています。今回の展示作品や制作についてはちさんにお話を伺いました。

－自己紹介と普段の活動を教えてください。

関西をメインに活動している、池田はちです。活動を始めて来年で10年目になります。
京都嵯峨芸術大学（現在の嵯峨美術大学）でイラストを学び、卒業後は4年ほど絵から離れた生活をしていましたが絵や制作をしないことに、寂しい気持ちになってきたというのがきっかけで雑貨づくりから作家活動を始め、その後は一枚の絵や絵本を描くようになりました。普段の活動は、グループ展や個展、雑貨屋さんの委託販売でグッズなどを販売させていただいています。

－今回の展示のタイトルの由来やコンセプトをお教え願います。

絵本を通して、ほっと力を抜ける癒しの空間を作りたかったので展示のタイトルもシンプルにそのまま、絵本のタイトルにしました。

－今回の絵本の製作でこだわったところはありますか？

文章もキャラクターも絵本のストーリーも「わかりやすくする」ことです。あと、特に理由はないのですがの「人間」や「地上」を一切入れたくなかったというところです。

－キャラクターのモデルになっているのが、石、雲、タオル、パンなど生活の中に存在しているものが多いですね。擬人化する際に何かポイントはありますか？

特に意識しているポイントというものを今まで考えたことなかったのですが誰もが知っている親しみやすいもので、キャラクターにしたら面白いんじゃないかなという日常で私が気になったものですかね。絵本にする時は、子供が好きそうなもので選ぶこともあります。

－SNSにも可愛いイラストがたくさんありますが、画材は何で描かれることが多いですか？

最近はアクリル絵具がほとんどで、時々パソコンで描いています。どういう雰囲気の絵に仕上げたいかによって画材を変えることがあるので水彩絵具を使うときもあります。

－今回の原画、それぞれの場面の色使いがとても暖かく奥行きがあるなと感じました。絵の描き方に何かポイントはありますか？

空が舞台の絵本なのでメインの色が、白、青、グレーしかなくそれぞれのシーンと色に深みを出すために冷たく感じてほしいところは下地に青系、暖かさを感じてほしいところには黄、ピンク系を下地に塗っています。普段、暖色系で描くのがほとんどなのでそのクセと、自分が好きな色（暖色系）を仕上げとして無意識に使ってました。

－絵本のおはなし(内容)はどんなことに影響を受けて閃きますか？

日常で気になったものや出来事、一人での空想や、誰かとの会話です。

－くもやのもーくんは、はちさんにとってどんな存在ですか？

ちょっと憧れの存在として感じています。

－くもやのもーくんの中で特に思い入れの強い場面はございますか？

「うまく描けた！」という理由で思い入れの強い場面は「ごろどん」が出てきた場面です。あと今回、展示はしていないのですが絵本のラストのシーンは、なにかの形に見えないけど見えるという少し曖昧さを残したかったのですが、そのきっかけは、友達の子供が雲を見て「カエル！」って言っていて私には「カエル」には見えなかったという出来事がありました。子供の目線を大切にしようと改めて思った思い入れが強い場面です。

－物販のマトリョーシカや、モビールがとっても可愛いです〇活動をはじめた頃から作られてるのですか？制作の様子などもぜひ教えてください。

ありがとうございます。両方とも特に気に入っているので嬉しいです。マトリョーシカは活動を始めた頃から作っています。耳や鼻などのパーツは粘土で作っていてつるつるピカピカより、少しざらっと手づくり感のある方が好きなので下地に気を付けたり、絵具のムラを意識しながら制作しています。
モビールは４～５年前からです。モビールに限らず、オーナメントのようなものだったり商業施設のディスプレイだったり「ぶら下げて飾るもの」が好きになったのがきっかけで作るようになりました。モビールを作るときは、だいたい粘土を使っています。ぶら下げる立体が多くなると重みが出るので、軽い素材（発砲スチロールなど）を使うこともあります。
粘土で簡単な立体を作るのも好きで、以前は、今回のような平らなものではなく、粘土で作った立体のものをモビールにしていました。今回は、薄く伸ばした粘土を型に沿ってくり抜いていき、ヤスリがけをして着色して、バランスを見ながらぶら下げていくという流れです。