シルクスクリーンに慣れてくると挑戦したくなる多色刷り!

多色刷りの難しいポイントはやっぱり位置合わせですよね。
2色刷りならまだしも、色数が増えれば増えるほど難しくなる…。

ちょっとのズレはご愛嬌でかわいいのかもしれませんが、できるだけズレないように刷りたいですよね…!

実は作業手順を工夫してしっかり道具をそろえれば
ズレないように印刷することができるんです。
位置合わせのコツもお伝えしますよ~~。

これさえ見ればきっと色数が何色になろうと怖くないぞっ!

今回のJAMLABでは5色刷りにチャレンジ!
カギとなるアイテムはきっとどのご家庭にもあるアレです…。

原稿の用意をする

まずは原稿を用意します。今回の仕上りイメージはこんな感じ!

シルクスクリーン用のデータにするため、各色を分版して、黒に変換します。

今回は手描き原稿から作っているので、
ベースのイラストを描いた後、各色ごとにライトボックスの上で手書きでトレース。それをスキャンしパソコン上でデータ化しています。

Mサイズ(200×290mm)の中に間隔をあけて配置しました。
しっかり余白をとったほうが刷りやすいです。

道具をそろえる

多色刷りの場合に必要な道具はこちら。
まずはいつも通り、シルクスクリーンの基本の道具
①版(今回はMサイズ) ②インク(色数分) ③ヘラ ④スキージー

そして、多色刷りの際にあるととっても便利な道具
⑤マスキングテープ ⑥ホルダー ⑦ホルダーパネルミニ 
⑧スプレーのり ⑨仕上り見本 ⑩クリアファイル

⑩のクリアファイルとっても大事です!
今回のカギとなるアイテムです。どのご家庭にもあるますよね?
(写真ではほぼ見えませんが!)

クリアファイルはハサミで綴じてある部分を切って、一枚のシートにしていますよ!

刷り順に注意!

多色刷りの場合は、刷り順もとっても重要。
基本的には塗り→主線の順に刷るのがベターです。

今回は↑この順番で刷ります。

シルクスクリーンのインクは後から刷ったインクが上に乗ります。
そのため、先に主線を刷ってしまうと後から刷った塗りに上書きされて、見えなくなった~となります。お気を付けて!
塗り版がいくつかある場合は面積が大きいところから刷ると良いかも。

セッティングする

では、版をセッティングしていきましょう。

まずは⑥ホルダーを使います。
ホルダーの片方のねじをを机に固定したら、もう片方に版をはさみます。その際に、刷る版がホルダーから近いとホルダーに手が当たって刷り辛いので、図案の天地が逆転しようともホルダーから距離をとると吉!

ホルダーは製造の仕様上、机と版の間に少し隙間ができてしまいます。
分厚い生地のポーチなどを刷る際は問題ありませんが、今回のように紙など薄いものを印刷する際は隙間が大きすぎる…。

そのため、隙間を埋めるために必要なのが⑦ホルダーパネルミニです。

こんな感じで隙間をうめましょう。
0.8mm程度の厚みの板や厚紙なら代用できますよ。
※段ボールでは代用できませんのでお気を付けください。

今回の記事の中ではお店にあった薄いパネルを2枚重ねて代用しています。

印刷したい版の下にパネルを置いたら、マスキングテープでパネルが動かないように机に固定します。

(お店にあったパネルが汚すぎますね…)

そして、パネルの上に⑨仕上り見本を置き、版を上から重ねて版の絵柄とぴったり合うように仕上り見本を移動させながら位置を合わせます。

軽く指で版を押しながらしっかり合わせましょう!
位置が合ったら、仕上り見本が動かないようにマスキングテープでパネルにしっかり固定します!

そして仕上り見本にシューっと軽くスプレーのりをふっておきましょう。
あとは仕上り見本のポストカードサイズの線に合わせて用紙をセット!

あとは他の色版からインクが落ちてしまわないように、今から刷るパン版を囲うようにマスキングテープを貼っておきましょう!

これで準備はOK!あとは刷ります!

1色目をプリントする

セッティングができたらどんどんプリントしていきましょう!

どーん!1色目完成です。
2枚目以降も仕上り見本の線に沿ってポストカードをセットしてどんどん印刷していきましょう。

2色目以降をプリントする

さて、2色目です。
2色目は1色目刷った髪の毛に接する服部分のラベンダー版を印刷します。

まずは1色目の時と同じようにホルダーと版を固定し、ラベンダー版の下にパネルを置きます。パン版を囲っていたマスキングテープをはがし、ラベンダー版のまわりに貼りなおしましょう。
ここらへんは1色目とおなじですね。

さて、難関の位置合わせ!
まず、適当な場所で良いのでラベンダー版の図案が全部収まる位置に紙をセットします。
いまは位置なんてまったく気にしなくてOKです。

そして、版をあげてポストカードの上からクリアファイルをかぶせ、
クリアファイルの長辺1辺を、パネルに貼り付けます。
マスキングテープを長く切って、しっかり貼りつけてください!
このマステの貼り方が甘いとクリアファイルがうごいてしまって意味がありませんよ!

そうしましたら、クリアファイルの上からいつものように刷ります!
クリアファイルはつるつるしていて滑りやすいので注意してくださいね。

クリアファイルに印刷することでどの位置に印刷がくるのかがわかります。
あとはクリアファイルに印刷された図案と用紙の位置を丁寧に合わせて、用紙を置きます!

クリアファイルをペロっとめくって用紙に印刷します。
(クリアファイルのマステは剥がしちゃだめですよ!!)

はい!ピッタリ印刷することができました。
まだまだイラストの全体像が見えづらいのでわかりづらいですが、位置合わせはとってもいい感じです。この調子でどんどん行きましょ~!

3色目以降も同じやり方をどんどん繰り返します。
版をセット→クリアファイルに刷る→位置合わせ→クリアファイルをめくって印刷!

3色目。いい感じですよ~だんだん絵柄が見えてくるのは楽しいですね~。

4色目。全体が見えてきましたね!

ついに最後!5色目です。

完成です~!
仕上り見本と比べてみてもほぼほぼズレは感じない仕上がりです。

今回ご紹介したクリアファイルでの位置合わせ、目で合わせるよりも格段に位置が合わせやすいです。もちろんこの方法も手作業でになるので、0.1mm狂わずぴったり!とはいきませんが十分な精度だと思います。

今回はポストカードでの挑戦でしたが、工夫次第でポーチやバッグ類にも応用が可能です。

クリアファイルよりも大きなTシャツやトートバッグなどはこの方法は向いてないかもしれませんが、大きなクリアフィルムやシートなど代用品があればできそうですね。

シルクスクリーンレベルがぐんぐん上がること間違いなし!ぜひ、チャレンジしてみてくださいね!

今日ご紹介した道具類は、オンラインショップでご購入いただけますよ!
※スプレーのりとクリアファイルは販売していません。

位置合わせの方法は他にもたくさんあります。ご自身のアイディアと経験でやりやすい方法をさがしてくださいね。

「多色刷りの位置合わせのコツ その2」も公開しようと思います。こうご期待!

SURIMACCAは、シルクスクリーンの製版サービスやオリジナルキットの開発のほか、シルクスクリーンの作業場を全国に拡げるプロジェクトを行っています。『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

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