数ある多色刷りの方法の中からスタッフのおすすめの方法をお知らせします。

以前、「多色刷りの位置合わせのコツ その1」の記事をアップしました。
今回はその2!トンボをつかった位置合わせの方法をご紹介!

プリント工場にあるようなプリント専用の機械があれば、多色刷りも位置合わせも楽にできるのかもしれませんが、そんな便利なものはJAMのワークペースにもないので、今回は特別な機械が無くてもできる方法をご紹介します!

もちろん、おうちでもできるやりかたですよ!

まずは原稿を用意する

今回使用する原稿はこちら。

使用する色は3色あります。仕様ソフトはillustratorです。

版を分けるとこんなかんじです。

いつもならこれで原稿の準備はOKですが、
今回ご紹介する方法は原稿の準備にポイントがあります。

それは…位置合わせ用のトンボをつけること!

※トンボとは印刷物の断裁位置や多色刷りの見当合わせのために付ける目印のこと

図案の四隅に1cm四方の正方形のベタ(■)を配置します。
図案から少し離れた位置に配置してくださいね。

それを各版の同じ位置に配置してください。

各版の■を重ねると、図案も重なるというわけです。
※画像は分かりやすいように製版データに色を付けています。

illustratorなどでトンボ(トリムマーク)をつけられる場合は、線を2pt以上の太さで作ると位置が合わせやすいですよ!

これで原稿の準備はOKです。

製版サイズの注意点!

今回ご紹介する方法は、プチ大判(または大判・超大判)サイズがおすすめ!

なぜかといいますと、XS~Lサイズの製版は図案が焼き付けられた版を枠にはめる際に、どうしても歪みやズレが出てしまいます。そのため、せっかく位置合わせ用の■をつけても、その■がぴったり合うことはありません。
丁寧に版をはると歪みやズレをおさえることはできますが、それでも寸分の狂いもなくぴったり!というのはとても難しいです。

プチ大判や大判・超大判は、製版の順序が違い、無地の版を枠にはめた後、図案を焼き付けるので、版を張る際のゆがみがありません。

プチ大判・大判・超大判サイズの製版過程はこちらの記事を参照してください。

上記のことから、多色プリントの位置をぴったり合わせたい!という場合は、プチ大判(または大判・超大判)がおすすめです!

プチ大判~超大判サイズはWEB SHOPで注文いただくと版を張った状態でご自宅にお届けするので、すぐに刷り始められます。

お店で作業される場合はフレームはレンタルできますよ。
スタッフが版の張り方をご説明しますので安心して作業ができます◎

今回はプチ大判サイズの中に3版を並べて面付しました。

けっこう詰め詰めで配置してしまいましたが、使わない版は表からマスキングをして、インクが落ちないようにすればOKです!
※本来図案と図案の間は3cm以上、あけるのがオススメです…。

印刷前の準備!

印刷前に最後の準備です。

プリントする素材の中に薄い板や厚紙を入れます。

布ものにプリントする場合は板(またはチップボールのような厚紙)にスプレーのりを軽くふきつけて、しわを伸ばすようにして板にはりつけてください。

目印にデータにつけた■は素材にプリントされたくないですよね。
ただ位置合わせのために■はプリントしなければ…。

ということで、あらかじめ素材にマスキングテープを貼って素材に直接印刷されるのを防ぎます。

原寸大でコピーした原稿を素材のプリントしたい位置におきます。

そして、■がくるトートバッグの位置にマスキングテープを貼ります。

マスキングテープが図案にかぶらないように注意してくださいね。
これで■をプリントしてもマステを最後に剥がせばOKです!

プリントする素材全てにこの作業が必要です。
枚数が多いとちょっと大変ですが頑張りましょう!

準備は以上です!
しっかり準備をすることでプリント作業がスムーズになりますよ。

印刷する

準備までの説明が長くなってしまいましたが、いよいよ印刷です。

プチ大判のように大きな版でも、慣れれば片手で押さえて片手でプリント…なんてこともできますが、慣れないうちは誰かに抑えてもらうのがベターですね。

さて、事前に貼ったマスキングテープの上に■がくるように版を置いて位置を合わせます。

■が見えづらいようなら、油性ペンで縁取ると見えやすくなりますよ◎

いよいよ刷ります。■もまとめて刷ってください。

1色目コーラルをプリントしました。
枚数がある場合はプリントしたい素材すべてのコーラルを刷ってしまいましょう。

中に入れている板はに入れたままにしてください。抜いたり動かしたりすると2色目以降の位置が合わなくなるのでご注意ください。

マスキングテープも貼ったままで、ドライヤーをして1色目のインクを乾かします。

ポンポンとやさしく指で触ってインクがつかなければOK。

2色目を印刷する

2色目にいきます。

2色目の版の■を先ほど刷った1色目の■に重ねるように版を置きます。

こちらは■を油性ペンで縁取ってみました。見やすいです。
軽く指で押さえて4つの■が合う位置を見極めてくださいね。

位置が決まったらプリントします。
2色目以降は■はプリントしません。

はい!できました。

右のお花の抜き合わせもぴったりです…!

1枚目を刷るときは版がキレイな状態なので、図案がどの位置にくるか分かりやすいですが、2枚目以降は版にインクがのっているので、図案がどこの位置に来るのか見えづらいです。

そういった場合、位置を合わせるのは至難の業ですが、今回のように■を付けておくと、■を合わせることで位置が合うのでとっても楽です!

同じように■を合わせて、3色目もプリントしていきましょう。

最後にマスキングテープをはずして、完成です~!

3色プリントでしたが、抜き合わせもぴったり合っています…!

プリントが出来たら、ドライヤーで表面のインクを乾かしてから、アイロンでしっかり乾燥・定着をさせてください。
自然乾燥の場合は丸1日置いておいてくださいね。

まとめ

多色プリントは色数が多くなるぶん、時間と手間とお金がかかりますが、その甲斐あって達成感があります。

前回の記事「多色刷りの位置合わせのコツ その1」のクリアファイルをつかった方法と今回ご紹介したトンボ(■)を付ける方法どちらがよいかはその時々です。

紙や薄い生地の素材、小さい素材の場合はクリアファイルを使った方法がおすすめです。こちらは版を固定する刷り台かホルダーが必要です。

Tシャツや大きいトートバッグ、厚い生地の素材の場合は、今回のトンボ(■)を付ける方法がおすすめです。ホルダーいらずで位置が合いますよ!
ただしトンボで位置を合わせる場合はプチ大判・大判・超大判サイズがおすすめ!

あくまでも今回はスタッフのオススメなので、ご自身でも色々と実験してやりやすい方法を見つけてみてくださいね!

今回実験で使ったもの

プチ大判フレーム(製版付き)
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SURIMACCAインクコーラル/ミント/イエロー)
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ショルダートート(ナチュラル)
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SURIMACCAは、シルクスクリーンの製版サービスやオリジナルキットの開発のほか、シルクスクリーンの作業場を全国に拡げるプロジェクトを行っています。『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

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