『私、陶芸をやっているんだけど、JAMで販売しているスリマッカは陶器に使えるのかしら?』
そんな利用者さんの一言から始まったこの実験。
はたして、陶器にシルクスクリーンで刷ることはできるのでしょうか…!!

今回は、比較的刷りやすそうな「陶器のコースター」で実験!
せっかくならかわいい仕上がりにしたいので2色刷りにも挑戦してみます~!
陶器のコースターのサイズは、JAMで販売している紙のコースターに合わせて”だいたい”直径9㎝。
シルクスクリーンインクの定着を比較するためにさまざまな焼き方の陶器を用意しました。

今回用意した陶器のコースター
使用した土:古信楽土
左から
・素焼き
・本焼きのみ(釉薬なしで焼いたもの)
・白萩釉(白くてツヤのある釉薬)
・白マット釉(白くてマットな釉薬)

Q.なぜこの4種類なのですか?
A.陶芸家の友人に作ってもらったので、私は…よくわかりません!(笑)
刷りやすそうな素材と、刷りにくそうな素材でお願いしました。
気になる方はぜひ調べてみてください~!

デザインと版を用意する

今回使用するデータはこちら!
シルクスクリーンの版は、120メッシュと粗めの70メッシュ(クリーナーあり)の2種類でインクののり具合を比較します!
陶器にはどちらのメッシュ数が合っているのでしょうか…!

Q.なぜカッパなのですか?
A.夏なので、妖怪もありかと…。あと、水に強くあってほしいという願いも込めてます。

1色目を刷る

1色目はインクカラー「TOKYO」を使用して、絵柄の塗りの部分を刷っていきます。

素焼き

120メッシュ
70メッシュ

本焼きのみ(釉薬なしで焼いたもの)

120メッシュ
70メッシュ

白萩釉(白くてツヤのある釉薬)

120メッシュ
70メッシュ

白マット釉(白くてマットな釉薬)

120メッシュ
70メッシュ

1色目を刷り終えての感想
どちらのメッシュ数もぱっと見はきれいに刷れていますが、70メッシュはインクがのりすぎてしまうので、キュウリの抜きになっているツブツブが潰れてしまいました。

2色目を刷る

2色目はインクカラー「ブラック」を使用して、絵柄のフチの部分を刷っていきます。

素焼き

120メッシュ
70メッシュ

本焼きのみ

120メッシュ
70メッシュ

白萩釉(ツヤ)

120メッシュ
70メッシュ

白マット釉

120メッシュ
70メッシュ

2色目を刷り終えての感想
120メッシュと70メッシュを刷り比べてみて、個人的には程よくインクがのる120メッシュの方が好きだなと思いました。
クリーナーをかけて使用したこともあって、70メッシュだとインクがのりすぎてしまい、イラストが滲んでしまったり、乾燥に時間がかかってしまったりと、見た目があまり美しくなりませんでした…。クリーナーをかけずに使用した場合もまた試してみます!

耐水性はいかに

いよいよ!!!ついに!!!耐水性を調べる実験です!!!
せっかく刷ったコースターですが、コップの水滴に負けるようじゃ話にならないので、すべて水で洗い流していきます!!

①水で流してみる
まずはこすらずに、水で流してみる実験。
水に耐えることができるのでしょうか…?

左から素焼き・本焼きのみ(釉薬なし)・白マット釉(マット釉薬)・白萩釉(ツヤ釉薬)

た、耐えました~~!
4種類とも滲んだりかけたりすることなく水に耐えることができました!

②スポンジでこすってみる

次は少し心配ですが、水を流しながらスポンジのやわらかい面で10回ほどクルクルとこすってみます。
がんばれカッパたち!!

左から素焼き・本焼きのみ(釉薬なし)・白マット釉(マット釉薬)・白萩釉(ツヤ釉薬)
白マット釉(マット釉薬)

……!!
悲しい結果になってしまいました…。
素焼きや本焼きなどのコーティングがされていないものはダメージが少ないのですが、釉薬がかかっている陶器はメッシュ数関係なく、かなりインクが剝がれてしまいました。
釉薬は焼き上げた際にガラス質になるそうで、やっぱりインクの定着力はかなり弱いことがわかりました。

まとめ

Q.陶器にシルクスクリーンは使える?
A.使える。
ただ、曲面や凸凹した素材にはかなり刷りにくいので、なるべく平らな素材を選んでください。
また、定着力が弱いので食器や、人がよく触れるものへの印刷はおススメできません。

です!
今回実験したコースターは、スポンジで洗わずに優しく使用していれば、ギリギリコースターとしての役目を果たしてくれそうです。
しかしまだまだ実験する価値はありそうなので、もし機会があれば、シルクスクリーンで刷った後に焼いたバージョンのものも試してみようと思います!

陶器へのシルクスクリーン印刷を考えている方、参考になるかはわかりませんが、
これを機にぜひ挑戦してみてください!

※あくまでも一例となるので、当該記事は陶芸作品へ印刷の仕上がりを保証するものではございませんので予めご了承くださいませ!

今回使用した道具

SURIMACCAインク
TOKYO
商品を見る

SURIMACCAインク
ブラック
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SURIMACCAは、シルクスクリーンの製版サービスやオリジナルキットの開発のほか、シルクスクリーンの作業場を全国に拡げるプロジェクトを行っています。『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

SURIMACCA
https://surimacca.com/
06-6485-7350(10:00~19:00)