レトロ印刷でのグラデーションかわいいですよね。
ただし、製版の性質上精細な濃淡表現が苦手なため、データによっては綺麗に仕上がらない場合があります。

過去に『グラデーションをうまくつかいたい』という記事を上げたのですが、ここ数年でリソグラフもパワーアップしより綺麗に仕上がるようになったので、今回は最新版グラデーション攻略をお届けします!

基本のグラデーション(Illustrator / Photoshop)


よくご入稿いただくパターンは、「グラデーション効果」 orハーフトーン効果を用いたデータです。
レトロ印刷(リソグラフ)の印刷は、元の原稿の濃い部分は濃く、薄い部分は網点となって印刷されます。そのため、薄い濃度の(淡い濃淡差の)表現は苦手で、白く飛んでしまい、印刷に出ない場合があります。グラデーションも同様で、一番薄い部分の下限濃度3~5%のあたりでパキっと印刷の境目が出て、割れてしまう場合があります。

一番手軽な対策としては、印刷が出にくい5%以下の濃度を避けてグラデーションの下限濃度を5%にする事で割れにくく綺麗なグラデーションに仕上げることが可能です。

▪グラデーション効果

画面上では少し分かりずらいですが、グラデーションの下限濃度が0%の場合は、パキっと塗りの境目が割れて見えてしまいます。インクの種類や紙の組み合わせにもよって見え方が変わりますが基本的には同じような仕上がりになります。
こちらは分かりやすくグラデーション割れが起きている例です。
下限濃度を5%にすることで改善されていますね。

▪ハーフトーン効果

番外編


▪効果を使う

メゾティントや点描のように細かな点画で表現されるグラデーションは、一番淡い濃度が0%の場合でも割れが目立たず比較的綺麗なグラデーションに仕上がります。最後まで色を付けたくない方にオススメです。

*濃度が薄いドットやトーンはモアレが発生しやすくなるため、グレースケールではなく、二値化したデータの方がより綺麗に仕上がります。

▪CLIP STUDIO

CLIP STUDIOで作成したグラデーションは、一番淡い濃度が0%の場合でも5%の場合でも、特に差はない仕上がりとなりました。IllustratorやPhotoshopと比べると割れにくい仕上がりになるようですが、薄い濃度のストロークが長かったり、トーンの濃度が低いと(二値化データではないと)、同様に割れる場合があるので注意が必要です。

まとめ


  • グラデーションは0%に向かって消えゆく部分の表現が苦手で3~5%あたりでパキっと割れる場合がある(特に薄い濃度のストロークが長いと割れやすくなります)
  • グラデーション下限濃度を5%までにすることでグラデーション割れを回避しやすい
  • 点画(トーンやドット)だと割れが目立ちにくい
  • CLIP STUDIOで作成したグラデーションは一番淡い濃度が0%でも割れにくい

※記事内容は社内検証による結果で、仕上がりを保証するものではございません。デザインやデータの作成環境によっては異なる仕上がりとなる可能性がありますのでご了承ください。仕上がりが気になる方は「試し刷り」をご活用下さい。

関連リンク

レトロ印刷は、リソグラフ(デジタル孔版印刷機)での印刷を専門とする印刷所です。『印刷のタネ』ではレトロ印刷の入稿のコツや使い方を、『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

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