レトロ印刷は一般的なフルカラー印刷とは違って、かすれたり、にじんだり、
色ムラが出たり…と色々な特徴があります。
そこでよくお問い合わせをいただくのが
「細い線ってどこまで出ますか?」
確かに、原稿を作るにあたって気になりますよね。
そこで今回は、いろいろな細さの線を実際に刷ってみました!
ぜひ原稿作成時の参考にしてみてくださいね。
線の太さを表す単位
線の太さは、Illustratorなどデザイン作成ソフトでは「pt(ポイント)」という単位で表されます。
1pt = 約0.35mm です。
0.35mmと言われても、細かすぎてイメージがわかないですよね。
一般的なボールペンのペン先(ボール径)は0.5mmですが、実際に筆記した際の線幅は筆圧にもよりますが約0.2mmほどと言われています。
つまり、0.5mmボールペンの線幅は「約0.6pt」となります。
細い線を刷ってみる
印刷物で一番よく使う線といえば、刷り位置・断裁位置の目印として付ける
「トンボ」(トリムマーク)です。
トンボの線の太さは0.3pt。つまりボールペンの線の1/2の太さです。
トンボはもちろんレトロ印刷でもしっかり印刷されますので、
筆記用具で書く手書き線は、基本的にほぼ印刷されると思っていただいてOKです。
では、データで原稿を作るとなると、いくらでも細くすることができるので、
実際に細い線を刷り比べてみました。
すべて濃度100%の線を緑インクで刷ってみました。
インクが多少にじむため、元の線幅よりも若干太く印刷されていますが、
まさかの0.001ptでもギリギリ見える!?意外といけますね~!
ただ、出るけど太さが正確かというと…0.1ptよりも0.05ptのほうが太く見えたりと不安定な仕上がりにはなりそうです。
紙によっても出方が変わりますが、特にレトロ紙はインクがかすれやすいので、途中で線が途切れたりと他と比べて少し苦手そうです。
真っすぐな平行線だけでなく、斜線や曲線はどうでしょうか?
こちらも同じく濃度100%の線を緑インクで刷っています。
平行線と同様に、斜線も曲線も意外と出ました!
100%濃度の線でしたら、太さの正確さは欠けるけれど、
印刷に出ないかも…という心配はしなくてもよさそうです。
線の濃度を下げてみる
ここまでは全て100%濃度の線を刷っていましたが、
では濃度を薄くするとどうなるでしょうか。
100%から25%だけ下げた濃度75%でも、0.1ptの線は見えにくくなりました!
レトロ印刷の印刷濃度は、版にあける穴の密度で調整されるので
濃度が下がると穴の密度が低くなり、網点の仕上がりになります。
(参考記事:【タネ】細かい文字は濃度に注意)
線も同様に濃度が薄いと網点になりますが、線は印刷面積が極端に狭いため、
網点が粗くなり点線のような仕上がりになってしまいます。
50%まで下げると、もうトンボの太さでも厳しそう。
細い線は、なるべく100%濃度がオススメです!
インクの色によっても見え方に違いが
では、インクを変えたらどうでしょうか?
若葉と黄緑、ももとコーラルを刷り比べてみました。
4色とも全く同じ、濃度100%の線を刷っていますが…
若葉・ももインクでは見える線も、黄緑・コーラルになるとかなり見えにくい!
よーく見ると実際は刷られているのですが、インクの色自体が明るいので
なかなか目に入りません。
明るいインクを使用する際は少し太めの線にするなど注意しましょう。
インクの色だけでなく、紙の色との相性でも見え方が変わるので要注意。
白抜き線は潰れやすい
ここまですべて実線で刷り比べてみましたが、では白抜き線はどうでしょうか?
先程までと同じデータを白黒反転して刷ってみました。
白抜き線にすると、ベタ部分がにじむことにより潰れやすくなりました。
実線ではOKな太さでも、白抜きだとダメな場合も。
白抜き線にする場合は、イメージよりも少し太めの線にしておくとよさそうです。
また、背景の濃度を下げるとにじみは軽減されますが、網点の粗さが白抜き線を見えにくくしてしまっているので、背景濃度もあまり下げないほうがよさそうです。
クラフト紙・レトロ紙Aでも同様に刷り比べてみましたので、
ぜひ参考にしてみてください。
細い線の出方については、小さい文字や細い文字の場合も同様ですので、
同じように注意してデータ作成してください。
まとめ
- レトロ印刷で比較的に安定して印刷できる線幅は0.5ptまで
- 濃度が薄いと途切れやすく、ベタ面に抜き線などは潰れやすい
- インクと紙の組み合わせで視認性が大きく変わる
実際どれくらい潰れるのか実物で見たい!という場合は、本注文の前に
試し刷りのご利用もご検討くださいね。
レトロ印刷は、リソグラフ(デジタル孔版印刷機)での印刷を専門とする印刷所です。『印刷のタネ』ではレトロ印刷の入稿のコツや使い方を、『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。
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