
ベルベットのような質感のプリントが楽しめるフロックシート。
今回は通常の印刷手順とは少し違った裏技?のような方法で印刷してみました!
本来フロックシートは、素材にホットバインダーという接着剤の役割を果たす糊を刷って乾かし、上にフロックシートを被せてアイロンをあてて転写します。今回はフロックシートの毛の面に直接ホットバインダーで刷り、それをアイロンで転写するという方法でやってみました。

通常のフロックシートのつかいかたはこちら(フロックシートであそぶ)をチェック!
手順1:原稿データをつくる
一番最初は原稿づくり!今回はフロックシートの質感を生かした「アルパカ?」な図案にしてみました。データの原稿でも、紙の原稿でも、黒一色で作りましょう!

データ原稿の詳しい作り方はこちらをチェック!
●原稿作りの注意点は、データを反転させて作ること!
フロックシートに絵柄を刷り、裏返して素材にのせ転写するので、反転させずに作ると最終的に素材の上で反転した仕上りになってしまいます・・・😢要注意!

手順2:刷っていく!
ホットバインダーはインクに比べて乾燥が早く目詰まりを起こしやすいので、目の粗い70メッシュで製版し、SURIMACCAに張っていきます。
※WEBSHOPからご注文頂く場合は、70メッシュにクリーナーをかけて、さらにインクの通りをよくした70メッシュ(クリーナーあり)をお選びください。
詳しい版の張り方はこちらをチェック!
ホットバインダーが十分にフロックシートにのるように、角度や力加減を意識しながら2度刷りしました。


白っぽくホットバインダーがのっているのが見えますか?
刷って、乾いてからの方が透明度が下がり、絵柄が良く見えるようになります。

いろんな色のフロックシートで、いろんな色の「アルパカ?」を刷ってみました。
手順3:いよいよ転写
ホットバインダーが乾いたのを確認してから、いよいよ転写です!(優しく触ってみて指に付かなければ乾燥十分です)
転写したい素材と位置を決めます。
今回はシャンブリックサコッシュ(カラー:グレー)に刷っていきます。

転写するときは裏返すので、絵柄がどこにあるのか見えません!フロックシートを絵柄のそばまで切っておくと作業し易いです。


位置が決まったら裏返し、あて布(今回はクッキングシートを使用)を被せます。その上上から150度程度に設定したアイロンで少し圧をかけながら、20秒間熱を加えましょう!

20秒ほどアイロンをあて終わったら、そのまま完全に冷めるまで放置!
ホットバインダーは熱を加えると溶けて、冷めると固まるので、しっかり冷めるまで待つのが成功のポイントです。
手順4:フロックシートを剥がす
フロックシートが完全に冷めたのを確認できたら、ゆっくりをフロックシートを剥がしていきます。


綺麗に転写されました!

番外編:刷りにくい場所に転写
この裏技(?)の良いところは、シルクでは刷りにくいけどアイロンならあてられる場所にフロックシートの転写ができること!シルクでは刷りにくそうな位置に転写してみました。
「アルパカ?」の文字の部分だけをランチバックトート(カラー:レッド)に内側に刷ってみます。
まずはホットバインダー刷ったフロックシートの図案を、ハサミでカットして使いたい部分だけにします。


転写したい位置を決めて裏返して置き、あて布をかぶせてアイロンをあてます。



完全に冷めたあとに、ゆっくりとはがしてみます。


転写成功です!

シートを生地の上に引っ付けて転写しているので、今回のような濃い色の素材にもしっかり映えるのが、フロックシートの強みです。
注意点
・細かい絵柄には向きません
あまり線が細いと上手に転写されません。今回の実験では21ポイントのゴシック体のフォントを図案に使用しての実験でしたが、これより小さいフォントや線は転写が上手くいかない場合がありました。
・大きな絵柄は難しい
アイロンの面よりも大きい絵柄は、全体に均一に熱を加えるのが難しく、接着具合に差が出る結果となりました。ご自宅のアイロンより一回り小さいサイズの図案がおすすめ。
・ぼこぼこした粗めの生地や、厚みのある柔らかい生地は難しい
アイロンで転写する際に、十分に熱を加えること同じくらい大事なのが、適度な圧力をかけることです。でこぼこがある生地や、ふわふわと厚みのあつ生地は、うまく必要な圧がかからず、失敗する場合があります。
まとめ
・データを反転させるのを忘れずに!
・最初は小さめの図案がオススメ
・シルクが刷れない・刷りにくい場所にも転写できる!
トートバックの内側、ポケット付きTシャツのポケットの中など、シルクで刷るのが難しい場所に印刷したかった方にオススメ。
・セッティングが簡単
平らで薄いシートへのシルク印刷なので、素材の中に入れる台紙を用意したりする必要がなく、素材と版の距離の調節などがからくちんです。何色か違うフロックシートに刷る場合も、同じ厚みのシートなのでサクサク作業が進みます。
今回の実験で使ったもの

SURIMACCAセット
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ホットバインダー(接着剤)
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フロックシート【全12色】
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ランチバッグ
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【シルクスクリーン製版】Sサイズ
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SURIMACCAは、シルクスクリーンの製版サービスやオリジナルキットの開発のほか、シルクスクリーンの作業場を全国に拡げるプロジェクトを行っています。『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。
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