シルクスクリーンの版を作る際、『K100%(真っ黒)』ではなく『グレー』で製版するとデジタル製版機というプリンターのような機械が、自動で網点をかける機能があります。

今回は、その機能をうまく使いこなせるのでは・・?と思い、実験してみました。
みなさんの作品づくりのヒントになればなあ~と思います。
(本来は、グレーデータでの製版はおすすめしておりません。)

また、この記事をきっかけに、グレーデータをシルクスクリーンで刷ると、どんな表現になるのかも知っていただけたら嬉しいです!

グレーデータで製版する

グレーデータを製版するには、2種類の方法があります。
●画像データ(jpg,png,psdなど)で製版する方法。
●パスデータ(ai)で製版する方法の2種類です。

まず最初にグレーデータを刷る際の、画像データとパスデータの仕上がりの違いを紹介します。

比較画像をご覧ください!

パッと見たところ、画像データもパスデータも、違いがないように見えますね。
しかし実際刷ってみると・・・・・

!!!!! 

随分と仕上がりのイメージが変わりました。
すこし分かりにくいので拡大して見てみましょう。

いかがでしょうか?近くで見てみると全然違いますね。。

このように同じグレー濃度でも、保存形式が異なると仕上がりも変わります。
ひとつの版で、一色刷りでもグレー濃度を変えることで新しい表現ができるのでおもしろいですよね・・!

ヒント①
パスデータのグレー濃度とは、イラストレーターの【カラーツール】から変更できます。

※カラーモード【グレースケール】

ヒント②
パスデータの一部を画像化したい時は、範囲を選択して【ラスタライズ】をかけると画像データのようなドット網点での表現になります。
(注意:一度ラスタライズをかけて保存すると元に戻せないので注意してください!)

実験内容

今回の実験テーマは
『20%と40%のグレーを重ねると60%の表現になるのかなあ・・・・・?』です。

そうです。グレーデータ×グレーデータです。
すこ~しマニアックな内容(マニアック度★★★★)にはなりますが、シルクスクリーンでこんな表現もあるんだな~程度にお付き合いください。


今回は、同じ絵柄で異なったグレー濃度の版をふたつ用意し、重ね刷りをしてみたいと思います。

↓準備した版データはコチラになります。

今回は、3つの比較対象を用意しました。
●画像データ(jpg)
●パスデータ(ai)
●K100%データ



はたしてどのように印刷されるでしょうか・・?
インクの色は、『ネオングリーン(淡)』と『パン(濃)』で重ね刷りです!
(パン→ネオングリーンの順番で刷りました)

刷る

▲ 今回使用した道具【紙:A4 しろ】

重ね刷りの際、ずれないように心がけて刷りました。

結果


刷り刷り。

結果はいかに・・・・・・・・!

なかなかいい感じなのではないでしょうか!拡大して見てみます・・!

▼ 感想
グレー濃度のパーセンテージによってドットの大きさは異なりますが、穴の開く位置は変わらないみたいです・・!うまく刷れるとグレー濃度の濃いもの(ドットの大きさが大きいもの)にかくれてしまいそうな結果でした。。
二色目の版をあえてズラすのが可愛いかもしれません!

先ほどの画像データとは、少し印象が変わりました。こちらも拡大してみます・・!

▼ 感想
こちらは画像データ(jpg)とは違って、じわっと色が混ざっているような印象です。
とくにグレー濃度が薄い部分のほうがどちらの色もじゃまをせず、しっかり重なって見えるような気がします!パスデータのグレーを刷る場合は、グレー濃度を薄めに設定するのがおススメかも・・?

むむむ・・・。なるほど・・・・・・。拡大してみます!

▼ 感想
上のふたつと比べてみると、随分印象が異なりますね・・。
良くも悪くもしっかりインクが出ております。特にヌキの部分は『ズレ』が分かりやすい仕上がりです。(これはこれで可愛い)
K100%でデータを重ね刷りする場合は、使用するインクの色と、刷る順番が重要になるような気がします・・!

まとめ

シルクスクリーンでグレーデータを刷るには

画像データ(jpg)の場合
→グレー濃度の濃淡によってドットの大きさが変わる
・グレー濃度によって、ドットの大小が変わる(濃→大,淡→小)
・ドットの位置は変わらない
・重ね刷りをする場合はあえてズラすのが可愛い?

パスデータ(ai)の場合
→jpgデータに比べて網点が細かくでてしまう。
・グレー濃度は薄めに設定
・濃く設定してしまうと、刷る際のスキージの角度によって『ベタ』になる恐れがある。
・重ね刷りをする場合は、薄め×薄めがおススメです!

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今回使用した道具

SURIMACCAセット
商品を見る

SURIMACCAインク
(ネオングリーン)
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SURIMACCAインク
(パン)
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SURIMACCAは、シルクスクリーンの製版サービスやオリジナルキットの開発のほか、シルクスクリーンの作業場を全国に拡げるプロジェクトを行っています。『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

SURIMACCA
https://surimacca.com/
06-6485-7350(10:00~19:00)