レトロ印刷は半水性(エマルジョン)インクを使用しているので、紙に完全に定着することがなく、強くこすると触れた手や物にインクが移るという特徴があります。
ですので、製本注文時の表紙はながらく【ツヤプリ】か【トレーシングペーパーカバー】の2択のみでしたが、なんと、2021年に入って、ツヤプリなしトレペなしという選択が可能になりました!

しかし、かといって、その特徴がなくなったわけではありません。
ツヤプリもトレペもなしがいい、でも、色移りも困る…そのすべてを満たす方法のひとつとして、この度ご提案するのが、製本注文時表紙を【印刷なし】でご注文いただいての

【シルクスクリーン手刷り】です!(すでに想像つかれてたと思いますが!)

原稿を用意する

今回はJAMの大阪のお店JAM WEB SHOPで好評発売中の【まちがい探しBOOK】の表紙を刷ろうと思います。
インクは落としませんが、最初の位置合わせのために表紙の角位置の目印を入れた原稿を用意しました。
今回は表紙印刷なしの製本まで加工の済んだ冊子に印刷しますので、面付の必要なし!
※グレー部分は製版の機械に自動で網点に変換されます。
▼グレー部分の網点化について:【ラボ】原稿がグレーだとどう仕上がるの?

中綴じミシン製本(表紙印刷なし)

今回の場合、中綴じ製本なので上部に位置する綴じ部分にかけて素材が湾曲しており、きれいに刷ることが難しくなることが予想されるので、綴じ位置からデザインは離しめにしました。
平綴じなどで湾曲部分がない場合でも、綴じ位置の凹凸を考慮してデザインの時点で、位置を調整するのが綺麗に仕上げるコツです◎

印刷準備

複数冊つくる場合は、スリマッカホルダーなど、版を固定する器具を利用することをお勧めいたします。
そして、連続して手早く刷るため、版と素材を固定する位置を決めます。
この時、マスキングテープやペンなどで印をしてもいいのですが、少し厚みのあるもので印をすると、置くときに引っ掛かりがあって位置を合わせやすくなります◎

また、大まかな位置を決めてから先に素材位置を固定し、版を微調整して固定する方がスムーズです。
(版を先に固定すると、版を降ろして版と台の隙間に手を入れて素材を動かし微調整することになり面倒です)

版の裏側から冊子のフチが当たる部分にマスキングテープを貼り、版を予め補強しておきます。
紙の印刷だけでなく、スキージーが通る部分に段差があると、その部分の版が傷んで穴が空き、汚れが出てしまう可能性があります。

いざ印刷!

ずあーー!
ひたっ
ぱかり

実はここに、重大なポイントが潜んでいました。
それが


このマスキングテープ!
インクの粘度で素材が版とともに持ち上がってしまうのを防ぐことができます。
※表紙の紙質によってはマスキングテープで紙が破れたりしかねないので、
 本番前に紙とマステの相性を確認しておいてください。
 破れそうなら何度か別のかみにくっつけて粘着を弱めておくとよいです◎

版とともに持ち上がってしまうと

このようにくっついてしまい
はがすときにぶれてしまいます
マステがある時

マステがない時(これでも全然ましなほうもっと汚れることの方が多いです)

【まちがい探しBOOK】と同仕様で印刷注文した場合

レトロ印刷は紙の種類や色数、印刷枚数などによって価格が違いますので、簡単な例として、今回の本体(素材)である製本の仕様や価格もご紹介しておきます◎

■仕様
中綴じミシン製本(のり無し)
サイズ:【200×120mm】仕上げ(Mサイズ) 本文P16(4枚)
表紙:ねずみ(印刷なし)
中紙:わら半紙 1/1 (オモテ1色/ウラ1色)×3 、2/1 (オモテ2色/ウラ1色) ×1

冊数価格
50冊¥11,308
100冊¥14,342
納期5日後発送
印刷名物、部数によっては量が倍でも値段変わらないやつ

まとめ

目論見通り、マットで剥き出しで、しかしこすっても落ちることのない表紙の冊子が完成しました!
満足の出来栄えですが、ミスをすると本が1冊まるまる没になるというのが厳しいところ。
手刷りは手間さえいとわなければ、ツヤプリパウダーを使って数冊のみツヤプリにしたり、表紙の色を少しずつ変えたりなど、かなり自由度高く遊ぶことが出来ます。
ツヤプリもトレペも色移りもNO!の方は、ぜひお試しください◎

今回のもろもろ

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レトロ印刷は、リソグラフ(デジタル孔版印刷機)での印刷を専門とする印刷所です。『印刷のタネ』ではレトロ印刷の入稿のコツや使い方を、『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

レトロ印刷
https://retroinsatsu.com/
06-6485-2602(10:00~19:00)