シルクスクリーンできれいにプリントするには平らな面を用意するのに越したことはありません!でもどうしても立体面に刷りたいときのために、シルクスクリーンを使って転写する方法をご紹介いたします。JAMにインターンシップで来てくれた学生さんと一緒に実験した結果をレポートします。

SURIMACCAでのシルクスクリーンプリントを体験し、「もっといろんな素材に刷れたら楽しそう」という学生さんの提案から、今回の実験がスタートしました。シルクスクリーンは段差が苦手な印刷なので基本的には平らな面でないと刷れません。また、JAMのインクは水性のため、紙や布以外の素材に刷れたとしても定着しません。諸々承知のうえで、どうしても紙や布以外の立体的な素材に刷りたいというときは、素材そのものに刷るのではなく、別の支持体に刷ってから転写する方法があります。

どこまで転写できるのか、今回はこの2つの方法で検証してみました!
1. 油粘土×石に転写
2. スタンパー×ネイルに転写

1. 油粘土を使って石に転写する

油粘土を使って石に転写してみます。まずは油粘土を用意。紙粘土はインクが染みこんですぐ乾燥してしまう恐れがあるのでNGです。やわらかくこねて粘土を伸ばし、印刷面より一回り大きい平たい面をつくります。刷る面がでこぼこしているときれいに刷れないので注意しましょう。転写する際、粘土と素材がしっかり密着できるように厚めにしておくのが良さそうです。

粘土の上にSURIMACCAを置いて刷ります。このとき、粘土の厚みに合わせてSURIMACCAの4つの角の下に木の板や厚紙などを重ね、枠全体が水平になるように足場をつくってあげましょう。版と粘土がしっかりくっつくくらいの力加減で刷りましょう。

粘土にきれいに刷れました!JAMの文字が反転していますが、実はここがポイントです。油粘土を使って転写する場合、製版時には必ず絵柄を反転することを忘れないように!文字のある原稿は要注意です。また、細い文字や線はにじみやすいので、太めにつくっておくほうが安心です。

いよいよ石に転写します。粘土を丁寧に持ち上げて、石の上に押し当てます。ここは一発勝負で位置を決めましょう!

凹凸のある素材に手のひらで押し当てるときれいに転写できました。

同じ要領で色んな石に転写してみました。凸凹の部分は多少欠けたり、つぶれたりしますが、それもなんだか味が出てまるで化石のような仕上がりに!曲面でもつるつるした面にはきれいに刷れそうですね◎最後に透明ニスのスプレーをかけると、摩擦にも強くなりました。

2. スタンパーを使ってネイルに転写する

油粘土で転写した際、小さい絵柄はどうしてもつぶれやすい点が気になりました。するとインターンシップの学生さんからネイル用のスタンパーを使うのはどうですか?と提案が!

100円均一などでも販売されている、ネイルに絵柄を転写するためのシリコン製のスタンプです。

こちらのスタンパーを使ってネイルに転写してみたいと思います。まずはインクが染みこまないクリアファイルや金属の板などにSURIMACCAを使って絵柄を刷ります。スタンパーを使う際は転写したものをさらに転写するので、原稿を反転する必要はありません。スタンパーの面積にあわせて今回は1.5cm角ほどの小さな絵柄を製版しました。できるだけ線は太めにつくるのがおすすめ!

刷れたらスタンパーのシリコン部分を絵柄に押し当てて転写します。今回使ったスタンパーは半球型になっていたので、くるりとまわすときれいにうつりました。時間を置くとインクが乾いてしまうので、すばやく押し当てるのがベスト!もしブレてしまっても、スタンパーにうつったインクを拭き取ってやり直せば大丈夫です。

スタンパーにうつした絵柄を今度は爪に転写します。ブレないようにぎゅっと押しつけてから、そっと離します。

きれいに転写できました!爪からはみでた部分はウエスやティッシュで水拭きできるので、マニキュアで絵柄を転写するよりも扱いやすいです。乾燥させて上からトップコートを塗ればできあがり。オリジナルネイルアートの完成です!

他にも小さな石や植木鉢にも転写してみました。スタンパーだと細かい絵柄も鮮明にうつしとってくれるので、油粘土よりも精度が高そうです。

まとめ

学生さんのアイディアと発想力のおかげで、予想以上に手応えの感じられる結果となりました!立体に転写する際のポイントをまとめると:

・大きな立体には粘土、小さな立体にはスタンパーで転写するのがおすすめ
・粘土で転写する場合は絵柄を反転させる
・細い線や細かい図柄は潰れやすいので、できるだけ太くする
・インクが乾燥する前にすばやく転写する
・つるつるした固い素材に向いている
・水性インクなので基本的に定着はしないが、転写後に透明ニスやトップコートなどを塗れば摩擦に強くなる

プリントしたいものがあるけど立体なのであきらめていたという方は、ぜひこちらのポイントをふまえて、シルクスクリーンを使った転写にチャレンジしてください!

今回実験で使ったもの

SURIMACCAセット
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【シルクスクリーン製版】XSサイズ
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SURIMACCAインク
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SURIMACCAは、シルクスクリーンの製版サービスやオリジナルキットの開発のほか、シルクスクリーンの作業場を全国に拡げるプロジェクトを行っています。『JAMLAB』ではリソグラフやシルクスクリーンを使った実験や遊び方を紹介しています。

SURIMACCA
https://surimacca.com/
06-6485-7350(10:00~19:00)